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井上さんと一緒に、「もったいない子育て」をやめる旅に出た

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書き手:小林浩子(ライター・編集者/小学生の親) 新聞記者、雑誌編集者などを経て、フリーランスのライター・編集者に。 自分の子育てをきっかけに、「学び」について探究する日々を重ね… もっと読む
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井上さんと一緒に、「もったいない子育て」をやめる旅に出た #はじめに

書き手:小林浩子(ライター・編集者/小学生の親) 新聞記者、雑誌編集者などを経て、フリーランスのライター・編集者に。 自分の子育てをきっかけに、「学び」について探究する日々を重ねる。現在、米国在住。  「子育てはどうしてこんなにつらいんだろうーー」 そう思ったことはありますか。私はあります。  ライター/編集者として、「仕事と子育てを両立すること」に疲労困憊している親(特に母親)の姿をたくさん見てきました。ちゃんと育てなきゃという内側からの使命感や、ときにはプレッシャー

井上さんと一緒に、「もったいない子育て」をやめる旅に出た #30

「喜びどころ」がずれるもったいない 対症療法に陥りがちな子育て①  子育ては修行のようです。でもそれを補完するように「喜び」もあります。    ただ、その喜びを感じるためには、親にもスキルが必要な気がします。子育ての「喜びどころ」を見逃さない。「喜びどころ」が分かると、苦しさを補って余りある喜びが得られるのかもしれません(タキビバやCo-musubiでもそういう喜びを共有する場面があります。誰かと一緒に喜べると嬉しさは増します)  例えば子どもが初めて立ち上がったとき、二

井上さんと一緒に、「もったいない子育て」をやめる旅に出た #29

嘘をつかれても対話はできるのか(後編) 「もったいないイベント」対話ドキュメンテーション④   「子どもが嘘をついたときでも、親子で対話することは可能なのか」という問いについて、前回(#28)の続きです。  親子とも感情的に落ち着いた後、どんな工夫ができるでしょうか。「同じ場所に下りていくことで『対話』にできるのではないかと思います。親の意見を押し付けるのではなく提案する……例えば『あれからお母さんも考えたけど、やっぱりお母さんは嘘をつかれてショックだったんだよ』と素の自

井上さんと一緒に、「もったいない子育て」をやめる旅に出た #28

嘘をつかれても対話はできるのか(前編) 「もったいないイベント」対話ドキュメンテーション③ 子どもが嘘をついた……親としてはショックで怒りも湧き上がってきます。そんな場合でも、親子で対話することは可能なのでしょうか。「それって『もったいない子育て』!? イベント」(#27)で浮上した問いです。  まず「子どもの嘘」について。「子どもの嘘にも様々な種類があるのでは」という参加者の対話がありました。 ・子どもは無意識に自分にとって都合のいいように話しをしてしまうこともある。

井上さんと一緒に、「もったいない子育て」をやめる旅に出た #27

 ヒーローインタビューで見えたもの 「もったいないイベント」対話ドキュメンテーション② 「私は、常に保護者のお面をつけっぱなしで、本当の自分の顔が分からない人になっているかも、と思いました」。記事#23について、こんな感想をくれたのは、小学生の子どもがいる参加者Eさん。  「『次はご飯を食べさせなきゃ』など、わが子にやってほしいタスクが常にある。そして、子どもがそれをしないことが多いので、いつも『ちゃんとしつけないといけないのでは』という保護者モードになっています。だから

井上さんと一緒に、「もったいない子育て」をやめる旅に出た #26

親子の対話はなぜ続かないのか 「もったいないイベント」対話ドキュメンテーション①  親と子の対話はとても大切ーー分かっていても、実際にはなかなか難しいものです。先日開催したイベント「【それって「もったいない子育て」!? イベント~対話めいたもの~】でもそんな声が出ました(ご参加くださった皆様ありがとうございました!)  「書く→対話する→書く→……」という新しいサイクル(#20参照)としてイベントを振り返ります。ちなみに今後、この試みを「対話ドキュメンテーション」と命名し

井上さんと一緒に、「もったいない子育て」をやめる旅に出た #25

親子の間にある「対話めいたもの」④ 「空振り対話」も積み重ねに意味がある  親子の間に「対話めいたもの」と「対話」があるとすれば、「対話」とはどんなものでしょうか。 ・問いかけによって本当の気持ちが出てくるもの ・問いが重なりあって発展していくもの ・一瞬で解決することではないもの ・それぞれが信じているものをお互いに受け入れるための手法を探るもの  まだほかにも考えられそうです。  「小さいころから対話をしていたらそれほど難しくないと思います」と井上さん。  しか

井上さんと一緒に、「もったいない子育て」をやめる旅に出た #24 

親子の間にある「対話めいたもの」③ 思春期になってからでは遅い? さて、親子の間で「対話する」とどんな「いいこと」があるのでしょうか? たくさんあると思いますが、一つは思春期の親子関係に関してです。  「難しい思春期になってからも、親子で話すことができるかどうか。それは小さいころからの対話の積み重ねに影響されると私は思います。必要に迫られてから急に対話しようと思ってもなかなか難しいもの。子どもが小さいころから対話しておいたほうがよかったなあ、と思春期を迎えてから後悔

井上さんと一緒に、「もったいない子育て」をやめる旅に出た #23

親子の間にある「対話めいたもの」② 「お面」を外して誰かとじっくり話すこと 人間は社会の中で生きているので、人生の多くの時間を、役割のお面をつけて過ごしています(前回#22の続きです)。  では、せわしない毎日の中で、お面を外した「素の自分」で過ごす時間はどれくらいありますか。  さらに、素の自分のままで誰かとじっくり話す時間をどれくらい持っていますか。  その場にふさわしいと思われるお面を四六時中つけて、「こうあるべき」ふるまいをし続けていると、どれが素の自分か分か

井上さんと一緒に、「もったいない子育て」をやめる旅に出た #22

親子の間にある「対話めいたもの」① 「お面」をかぶったままでいると……  「対話」と聞くと、腰が引ける人もいるかもしれません(前回#21← の続きです)。かくいう私も、以前は「対話」というものに縁遠い生活を送っていました。初めてプライベートでオンライン読書会に参加した時、自分がどうふるまえばいいのか戸惑ったことを覚えています。  なぜ戸惑ったのか。考えてみると、何かの「役割」の「お面」をかぶることが日常になっていたからだと思います。例えば、仕事をするときは「取材者」や「編

井上さんと一緒に、「もったいない子育て」をやめる旅に出た #20

「書く→対話→書く→…」がかなう もったいないイベント(習い事)前編 このほど、私の願いがかないました。  誰かにインタビューしたり、場を取材したりして文章を書いて読者に届けるという仕事を20年以上続けてきました。それは本当に意義深いことですが、構造として一方通行になるという宿命があります。  書いたものを読んでくださった人たちと対話をして、またそれを振り返りながら書く。そんな「書く→対話する→書く→……」という新しいサイクルが生まれたら、「書く」と「対話」が化学反応を

井上さんと一緒に、「もったいない子育て」をやめる旅に出た #21

大先輩のアドバイスも もったいないイベント(習い事)後編  【それって「もったいない子育て」!? イベント 習い事】の振り返り(前編#20)の続きです。   参加者の多くがびっくりしたエピソードもありました。1歳半ごろから10個ぐらい習い事をしている子がいた、と。そもそもその年齢でそれほど選択肢があること自体に驚きの声があがりました。さらに「その子はだんだんあまり笑わなくなっていった」という追加情報もあり、考えさせられる一場面も。  また、参加くださった助産師の吉田敦子

井上さんと一緒に、「もったいない子育て」をやめる旅に出た #17

習い事選びのもったいない③ (17) 観察は難しいけれども意味がある  前回、親の観察を妨げる「邪魔者」について考えました。 しかし、たとえ「邪魔者」の存在を認識していても、「ただ観察する」ことは簡単ではないです。  例えば、うちの子は絵をよく描いている、よく踊っていると感じても、「でも、子どもはみんな絵を描くのが好きでしょう?」「子どもは誰でも踊るのが好きでしょう?」と思ってしまうかもしれません。  井上さんはこう言います。「例えば、『絵を描くのが好き』と一言で言っ

井上さんと一緒に、「もったいない子育て」をやめる旅に出た #16

習い事選びのもったいない② (16) 観察におけるいくつかの「邪魔者」  前回(#15)に続いて、「習い事選びのもったいない」について、です。  親の観察を邪魔するのはどんなものでしょうか? 例えば、「小さいころに絶対〇〇を習うべき」「私がやってよかったので(よくなかったので)〇〇を習うべき(習うべきでない)」といった親の思い込み。  「自分が〇〇をやっていて体幹が鍛えられたので子どもには絶対〇〇をやらせたい」といった考えも思い込みに入るかもしれません。ほかの習い事でも