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第1章 オランダ国民の一人ひとりが勝ち取った”教育の自由”

(オランダの具体的な視察に入る前に、オランダの教育のバックグラウンドから...)

"オランダの教育"に対するイメージってどんなものがありますか?

・国民一人ひとりが自由に教育を選べる
・イエナプランをはじめとする、オルタナティブスクールが多い
・子供の主体性や好奇心を尊重する学びを展開

など、オランダの教育はなんだか日本よりも自由そうと思われている方も多いのではないのでしょうか。

では、その自由はもともと国が保証してくれていたのか?
答えはNOです。

オランダでは、19世紀から20世紀の初めまで、約90年にもわたって学校闘争(学校制度と宗教に関する論議)が繰り広げられ、最終的には1917年に憲法23条にて下記のような教育の自由が規定されました。

①理念の自由 宗派・非宗派の信念(教育理念)に基づいて学校教育を行う(公立・私立関係なく学費は無償/学区制がなく、自由に学校を選べる)
②設立の自由 自治体ごとの最低規程人数分の署名で学校を設置できる自由(最低人数集まれば自由に学校を設立できる)
③方法の自由 学級編成、時間割、教材選択、授業方法を決める自由(教科書などの規定はなく、それぞれの学校は自由に教育を展開することができる)

まさに民主主義の結果として、国民が教育の自由を勝ち取ったのです。90年にもわたって議論し続けるという根気強さ。それほどまでに教育の重要性をオランダ人、一人ひとりが感じていることに感動を覚えました。

さらに、その後も教育のあるべき姿は議論し続けられ、1970年から「画一教育から個別教育へ」「すべての子どもが人間として成長できる」と今のオランダの教育のベースとなる考え方が定着し、いまもまだアップデートし続けています。

教育に「完璧」はないからこそ、時代とともに教育をアップデートしていく。そして、その形は一つではなく、多様であっていい。いいとこはお互いに学んでいくという姿勢。社会の基盤の教育を国民全員で作っていく。まさに、これが社会に開かれた教育。

この話を知ったとき、90年という時間の長さに慄いたのと同時に、時間はかかるかもしれないけど、「教育のあり方を変えるのは市民一人ひとり(自分自身)なんだ...!」という希望もふつふつと湧いてきました。
日本はどんな社会をつくりたいのか?そのためにどんな教育が必要なのか?私たち自身が考える必要があるのだなと。オランダをみて、一気に日本に矢印が向きました。

また、いまのオランダの公教育のあり方に、大きな影響を与えているのが、『オルタナティブスクール』の存在。昨今日本でも、少しずつ増えてきていますが、オランダにはイエナプラン・モンテッソーリ・フレネ・シュタイナーなど、約10%の学校がオルタナティブスクールにあたります。10%と聞くと、なんだか少ないなーと感じる方もいるかもしれませんが、その10%がオランダの教育のあり方を問い直し続けているのです...

今回の訪問では、実際に、モンテッソーリ・イエナプラン・フレネの3つの学校を訪ねました。その詳細はオルタナティブスクール@オランダ編へ続きます。

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オランダの教育がどうやって変わってきたのかさらに詳しく知りたい方は、リヒテルズ直子さんが書いた『オランダの教育』という本がおすすめです。(私もオランダを訪問前に熟読。一気に読み切るほど、面白かった。)

Kaoru

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