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第3章 ゆるさが幸せの源泉、デンマークの小中学校

旅路はオランダからデンマークへ!
デンマークからの旅のレポートは安井が担当します。

オランダのスキポール空港からデンマークのコペンハーゲン空港まで、約2時間弱。EU圏内で出国審査もなく国内旅行みたい。夜だったので、ご飯をショッピングモールで買い込みホステルへ直行。

デンマーク1日目の朝は、主張強めのニワトリの鳴き声で目が覚める。
見渡す限りの北欧特有の樹木とキリっとした寒気と朝靄に、
田舎の方まで移動してきたことを感じる。

ここで、デンマークのコーディネートをしてくださる、ニールセン朋子さんとご対面。大変フラットで、ふわっとやわらかくて、可愛らしくて、このうえなく素敵な方でした。

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ニールセン朋子さん
神奈川県茅ヶ崎市出身、2001年よりデンマーク、ロラン島在住。ジャーナリスト、コンサルタント、コーディネーター。デンマーク・インターナショナル・プレスセンター・メディア代表メンバー。関心領域は持続可能な社会づくり、気候変動適応、再生可能エネルギー、農業、食、教育。著書に『ロラン島のエコ・チャレンジ~デンマーク発、自然エネルギー100%の島』。

ロラン島のフォルケスコーレへ

まず向かうは、ロラン島。面積は沖縄本島くらい、人口は4万人程度。
沖縄本島の人口が140万人なので人口密度の差は歴然。
(日本やっぱ人多いな・・・)
バスの中から見える風景は、緑、緑、風車、緑、緑、建物。
風車のおかげあって、ロラン島の電力自給率は800%(800!?)
農家でもマイ風力発電機を持っているくらいエネルギー自給率が高い島で、コペンハーゲンにも電力供給しています。

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もともと造船業が盛んな地域でしたが、1980年代に造船業じゃ食えない!と低迷した土地。他の地域はIT化に力を入れてシフトしていった時代、ITだと差別化ができないとEUROの採択書を読み込んで「ウチは再生可能エネルギーで行こう」となったんだと。
先読みする力と、不明瞭な領域に逆張りする胆っ玉よ。

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到着したのは"フォルケスコーレ" 
(Folke=国民の/公の)(skole=学校)なので、日本でいう公立の小中学校ですね。0年生~9年生までが380名通っています。
※ちなみに、デンマークには0年生(就学前に半年学校に通わせる制度)があり、集団生活/学校の暮らし/先生とのかかわりを「楽しい」と感じてもらうためでソフトランディングのための時期としています。
これめっちゃいいんですよね・・小1プロブレム起きなさそう。。

登校中、サンタ帽被ってる子が多いけどイベント?と聞いたら、「デンマークではクリスマスシーズンはサンタ帽を被って、登校・出社する人がいるのよ」と。何その可愛すぎる慣習・・・!と萌え+5ポイント。
あとで、おませな女子に「あなたは被らないの?」と聞いたところ、
綺麗に鼻で笑われました。おませさんは世界共通で安心。

さらに、車の送り迎えの標識に「キス&ドライブ」と書いてあって萌え+10ポイント。ほんとデンマーク、オシャレにキュンキュンさせるのやめてほしい。

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萌えきったところで、学校見学と生徒/先生に話を聴いて感じたことをまとめると、こんな感じ。

学びの自由と公正性

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教室のなかで、違う教材・違う章をやっているのは通常運転(1桁の足し算の子と2桁の掛け算の子がいた)、教室の棚の上で寝転がりながらPCを操作している子を見て「日本の先生が来るとびっくりされるけどリラックスできるスタイルをあの子が選んでるならOK、ずっと集中するのって難しいからね~」と先生。

先生のやるべきことは、それぞれのテンポで伸びていく子供たちを、脱落しないように支えてプログラムをつくること。そのアレンジが先生のやりがいじゃない?と。先生の役割がシンプルで明確。

先生と生徒の関係性の質

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日本に留学していた中学生の女の子曰く、日本とデンマークの一番の違いは先生と生徒の関係性。本人の言葉をそのまま載せると、

「日本は先生に尊敬の気持ちを持って接するよね。でもちょっと距離を感じたかも。デンマークではあくまで対等を貫いている。先生とハグもするし、悲しいときは相談相手になるしたまに相談も乗る。わたしたちは先生に人として信頼を置いているし、先生も生徒を信頼している。」

この学校の好きなところは?と聞くと「親と喧嘩した翌日は先生がすぐに気づくのでそれはすごく助かる」とも。僅かな心の変化が分かる先生すごい。

幸せなくして学びなし

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学校目標の看板がコチラ。「学び/well being/国際的な視点」の3つを大事にしている。この学校が特有なのね~と思いきや、公立だから別にそういうわけじゃないとのこと。学校は「健康と幸福」を重要視すべきという制度改定が2014年にあったそうだ。「子どもの幸せなくして、学びなし」が宣言された。

幸せかあ。日本の教育制度にあまり見かけない言葉だったので、
プレゼンしてくれた彼女に、幸せ・幸福ってどう捉えている?と聞くと、
「うーん、毎日機嫌よくいられることが私にとってのwell beingかな」

一連のプレゼンを終えた彼女は、ステージの淵に腰かけて足をぶらぶらさせながら語る。ちなみにプレゼンは「日本から来る方々向けに英語で準備しています」と聞いていたが、バリバリのデンマーク語だった。
(ニールセンさんが「おっと」と言いながらするっと通訳しはじめた)

質疑応答の最中だけど、さっきから開場前方真ん中の一番目立つところに犬を連れた女性が座っている。しかし説明はない。(後からschool dogというこれも教室の安心安全度を上げるための仕掛けだと説明された)

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これまた質疑の途中に「クリスマスの歌の練習を披露したい」と小学生の可愛らしい天使たちが、突如列を作りながら歌いながら入ってきて・・・、去った・・・?と、いつ終わったかが見分けがつかず、拍手のタイミングを見失うなんて初めてだ。

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そう。総じて、
すっごい、ゆるい。

ニールセンさんも笑う。
「ね、だらだらしてるでしょ。でもこれでいいのよ。」

ゆるい、だらだら、のんびり。
ムリにコントロールしようとしないからちょっぴりカオス。
完璧じゃない、人間くさい。
でも、あたたかい。ここちよい。

デンマークが幸福度が高い理由がこの小学校の光景に詰まっている、
ような気がした。

学びの仕組みが秀逸なオランダ。
デンマークでは、土壌が気になってきた。

(第四章は、森の幼稚園と教員養成大学院をレポートします)

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