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大暑;第35候・土潤溽暑(つちうるおうてむしあつし)

大暑 土用

土はますます黒くなる 

しかし 東京のど真ん中だと 土の上に立つことは ほとんどない

蝉の幼虫も アズマヒキガエルも アスファルトで轢死体になって よく見つかる


恵まれたことに 氏神様の境内にある小さな畑で藍を育てる機会をここ数年いただいている。

藍染に使う蓼藍だ。

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今年は土も入れ替えて 被さって日陰を作っていた椎なども剪定してもらって明るくなった 肥料も概ねひと月ごとに与えていった 

畑の様子を見に 一日置きぐらいに行く 

境内は建て替え工事などで緑地はやや減ったが やはり土があり 「杜」という母胎は長い間守られている 浸ると安心する 畑は一段下がった四合稲荷の裏にある

終わらない梅雨 まだそこまで蒸し暑さはないが 土は黒々として水分をたっぷり含んでいる 水が好きな蓼藍の緑はやや不足がちな日照を求めて 緑の面積を増やそうとしている 

蚊の多い場所なので畑に行くと無傷ということはない 藍の葉を 刺されたところに擦り込むと 痒みが止まる(ようだ) 葉の虫食い跡は 青が滲んでいるのがわかるでしょう 

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月桃も植えてあって 最初の写真は少し前の花時のもの 沖縄ではこの葉をお餅を包むのに使ったりする 葉はちょっとスッとする良い香りだ 「シェルジンジャー」という英名は花の形によるのだろう

葉を置くだけで防虫効果もあるというから 藍の根元に敷いてみよう 今年は実も膨らんできた 完熟したら 春に種蒔きする

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土用

元気のいい土を踏むのは心地いい

そういえば

畑の植物たちは 足音にとても敏感だという

足音を覚えているらしい

毎日というくら行って 彼らの声を 聞けたら素敵なのに

土も植物も いつも足音に耳をすませて そして 話したくて仕方ないのだ


20億年ほど前に 別れた 植物と動物 

土と空の間に立つ いのち

きっとまた話せる


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