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ことのはいけばな 第3候「魚上氷(うおこおりをいずる)」

花を活けるように、言葉を三十一文字の器にのせて活ける。
はなとことばを立てて相互記譜。七十二候のことのはとはなの旅のはじまり。


旧暦新年となった。旧暦の大晦日に当たる日に氏神様の天井絵をじっくり見させてもらった。凡そ100年前、遷座200年を記念して天井に描かれたという。川合玉堂の弟子の長華崖という画家による。氏子さんでもあったそうなので、ご近所さんだ。

コロナにより衛生的に手水が使えないとされ、水も抜かれている中で、少しでも花で清らかな気持ちになってほしいとの申し出を受けたので、絵と関連づけて、生徒さん達と境内の手水舎に花を添えていくことにしようと思う。拝殿の天井に神様へ奉る形で春夏秋冬を描くということは、四時(しいじ)の巡りが順当であることを願うことにもなり、その永続を願うことでもある。あらゆる生き物とともにあるこの世の幸いを願い、大いなる力の加護を願うことなのだ。そこに僕たちの願いは収束するだろう。

小一時間見上げたあの日から、花鳥たちはたくさん話しかけてくる。

生徒さん達と花を活けて、彼らの声に耳を傾けよう。

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新月や格天井(ゴウテンジョウ)の花鳥絵の万物照応鏡の世界

目眩く花鳥曼荼羅あらわるる鏡の玉をたたみに置けば

冬の暮れ天井見上げ花鳥図の陽の光揺れさまざまの風

新月の格天井の花や鳥五月蝿なしたりそぼ濡れるほど

耳鳴りす絵空事とはいうめれど格天井は花鳥のさえぎ

鳴り止まぬ声音大きく日も経つに言いたきことのはよせてかえして


             …ここからは御神鏡の光を感じて詠みました↓


別の世をリフレクトする御霊代(みたましろ)浮世うたかたこもれびゆすれ

拝殿の鎮まりてをるみ鏡の暮れれば夜の月となりたる

したしたとこうこうこうとみ鏡の幾星霜を宿しし眼かも

大いなるものの片目のすずしさよ両の眼(まなこ)で見つめ続ける





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