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事業再構築補助金を申請しようかな?と検討中の皆様へ(一次公募体験に基づくポイント紹介)

久しぶりのnote投稿になってしまいました…(汗)。

現在、事業再構築補助金の支援業務で「てんやわんや」になっており、ついつい手が止まっていたという、実にけしからん状況でした。

うちはいわゆる「一人会社」のため大した件数ではないのですが、ボツや延期になった案件を含めれば、それでも相当数の事例を経験させてもらいました。

その中で、今後事業再構築補助金の申請をお考えの方に、押さえておくべきポイントをご紹介したいと思います。


1 最初の事業計画は「補助金なし」で考える

最初のお問い合わせ~申請完了までスムーズに進んだ事例では、おおよその事業計画(収支予想)が最初から社長さんの中でイメージできていました。補助金として交付されるのは「初期投資金額」の一部(今回、中小企業の一般枠では補助率2/3)ですので、その後の収支については自力で頑張るしか無いわけです。

補助金を受けて成功するパターンは大きく下記2点だと思います。

①新規事業に手応えはあるけど、初期投資分の資金調達が難しい

②補助金なしでも新規事業に取り組みたい。金融機関もお金を貸してくれると言っているが、できれば借入を減らしてリスク管理したい。

逆に、失敗する(もしくは計画が定まらない)パターンは

①「補助金をもらうこと」自体が目的になっている

②新規事業にいくらかかるか、儲かるかどうかよく分からない。けど、補助金がもらえるなら申請してみようかな…というあやふやな状態。

といった感じではないでしょうか。

まずは、その事業(特に単年度収支)が補助金なしでも成り立つ見込みがあるか、計算してみることをおすすめします。

補助金審査員の立場から見ても、「儲かる可能性が高い事業」から順に採択するはずです。補助金交付というのは、お金を出す国(もしくは地方自治体)にとって、皆様から集めた貴重な税金を「特定の企業に投資する」ことと同じことだからです。当然ながら、国としては雇用や納税で還元してくれないと納税者の理解が得られません。

したがって、自社の経営を考えても、補助金採択率を上げることを考えても、まずは補助金なしで利益が出る計画を作ることが重要です。補助金については、初期投資を賄う手段の一つとして活用することが成功の近道だと個人的には思っています。


2 公募要領を熟読する

事業計画書の書き方が分からない…というご相談も多々いただきます。私が前職で初めて事業計画書を作ったときも同じだったので、お気持はよくわかります。

しかし、補助金申請の場合は、答えが最初から提示されています。それが「公募要項」です。長文(事業再構築補助金は31ページ)かつ言葉が難しいということで、まともに読まずに我々専門家に丸投げする方も多いですが、はっきり言って自殺行為です!

https://jigyou-saikouchiku.jp/pdf/koubo001.pdf (事業再構築補助金 公募要項)

細かいところがわからない場合は、それこそ専門家にご相談いただければよいのですが、まずは自分で読んで確認することが重要です。

事業再構築補助金の公募要項で、私が特にご確認いただきたいと思っているところは下記3箇所です。(※記事執筆時点(2021年5月17日)のページ数ですので、公募要項の改訂により前後する可能性があります)


7.補助対象経費(17~21ページ)

補助対象となる経費の説明がかなり細かく書かれています。もちろん重要な項目なのですが、更に重要なのは小文字で書かれた部分です。

この部分には、補助対象外となる経費について細かく書かれていますので、自社で購入したいものが対象外になっていないか、事前にチェックしておくことをおすすめします。主要な設備が補助対象外になる場合は、最初から補助申請しない(もしくは別の補助制度を探す)方が良いからです。


10.事業計画作成における注意事項(23~24ページ)

この項目には、事業計画書に書くべき内容が事細かに書かれています。

事業再構築補助金では、①補助事業の具体的な取組内容、②将来の展望、③本事業で取得する主な資産、④収益計画 の4つについて、15ページ以内で書いてくださいとなっています。

この4項目には、それぞれ細かく指定があります。したがって、指定された項目について順番に書いていけば、自然に事業計画書が完成するとも言えます。(自分が書いた案件でも、指定された順番に書いてちょうど14~15ページになりました。)


表2:審査項目(27~28ページ)

「10.事業計画作成における注意事項」には「何を書くか?」が指定されていました。一方、「表2:審査項目」には「どのように書くべきか?」の答えが指定されているとご理解いただけば良いかと思います。

補助金申請書を採点する際の「採点基準」が最初から公開されていることになりますので、高い点数を取りたい(=採択率を上げたい)なら、ここに書かれている基準に合わせて事業計画書を書けば良いのです。

「そんなの難しいし、お任せするから何とかして!」という方もいらっしゃいますが、我々診断士としては非常に困るケースです。お客様ご自身が審査のポイントを理解していないと、文章にまとめる事業計画自体が特徴のない曖昧なものになります。(我々診断士を料理人に例えると、事業計画が素材(食材)にあたります。素材が良いものでなかれば、いくら腕の良い料理人でも本当に美味しい料理は作れません。)



3 箇条書きで良いから、全体について書いてみる

事業計画書の作成は、専門家である我々でもかなりの時間を必要とする作業です。普段、文章を書く習慣のない方については特に難しい作業になると思います。今回、何件かの支援をさせていただいて思ったのは、素材が揃っている案件は書きやすいし早く仕上がるということです。この「素材」については箇条書きレベルで十分です。

1(最初の事業計画は補助金無しで考える)と重なる内容になりますが、事業計画のイメージが明確な方については、1回のヒアリングで十分な素材が集まります。また、計画の質を上げるアドバイスについても明確で有効なご提案が可能になります。

したがって、まずはお客様ご自身の中で新規事業の全体イメージを明確にしていただくことが重要になります。事業のイメージがハッキリしている場合は、(一定水準以上の診断士であれば)不足分をヒアリングで補うことが十分可能です。

自分の頭の中を整理する意味でも、まずは箇条書きレベルで事業全体について書き出すことをオススメします。


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