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こみゅリポ Vol.3「オンライン最前線」〜オンラインでポケカしたら可能性の塊だった話〜

Tonamelのコミュニティマネジャーのさとけんと、いろいろなゲームコミュニティのイベントオーガナイザーが集まって、ゲームコミュニティの魅力や謎を、プレゼン/ディスカッションを通じて明らかにしていくイベント「こみゅリポ」

vol.03の後半パートは「オンライン最前線」というテーマで行われ、ポケモンカードゲーム、通称ポケカのイベントを25年に渡って企画されてきたCHANGさんが、コロナ禍でオンラインイベントを通じて「オンラインならではの魅力」をどのように実現したか語ってくれました。

スピーカー紹介

CHANG(ちゃん)

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東京出身、25年間個人でポケモンのイベントを企画、運営。株式会社ポケモン公認イベントオーガナイザー、公認ジャッジ資格取得以降、一般オーガナイザーとして活動するかたわら企業や行政と連携して企画を行う。

ポケモンカードについて

ポケモンカードゲーム、あるいは「ポケカ」とは、プレイヤーが各自60枚のカードで作ったデッキを持ち寄り、1対1で対戦することを前提としたトレーディングカードゲームです。

「ポケモン」という極めて人気の高いバックグラウンドに加え、自分の好きなポケモンを主軸に据えるデッキから勝利のため必要なカードを揃えたデッキまで幅広い構築を許容する寛容なゲームバランスもあり、1996年に発売されてから今年で25周年を迎え、今なお老若男女に愛されている稀有なカードゲームとなりました。

オンラインでポケカしたら可能性の塊だった話

CHANGさんの開催する数々のイベントにもこのポケカの多様性と人気は垣間見えます。例えば八王子市の街おこしを兼ねて開催した「ビートルフェスティバル」では大会から初心者講座、コスプレまでそろえ、渋谷のバーを借りて開催した「ゲッコウバー」では仕事帰りの社会人同士が集まり、ゆったりとポケカの対戦を楽しんだそう。

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しかし、このように幅広い層に親しまれるポケカに、今なお感染拡大の続くコロナ禍が襲い掛かりました。お互い向き合い、カード名を指摘したり、カードを交換するトレーディングカードゲームにおいて、感染リスクは考慮せざるを得ず、その結果、多くの大会、ショップが一時的に閉鎖されることとなってしまいます。

このコロナ禍がコミュニティにどのような影響を与えたか。まず上級者にとっては自分の実力を試し、あるいは示すための大会が中止となり、モチベーションが失われてしまいました。またそうした上級者同士の大会を観戦するのを楽しみにしていた人々にとっても中止は大きなダメージとなります。

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だがより深刻なのは、ゲームをカジュアルに楽しむ初心者。実力を伸ばす練習機会が失われたのみならず、ゲームを通じて新しい友人を作り、楽しさを共有することをモチベーションに楽しむ人々にとって、実際に人が出会える「場所」を失うことは大きな損失でした。さらにポケカを含めた多くのカードゲームにとって、初心者はユーザーピラミッドを基底から支える主要層であり、売上も多くが彼らによって支えられています。コロナ禍はポケカ普及の大きな障害となりました。

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そこで、解決策としてCHANGさんらはリモートでの対戦を実現しました。リモート対戦とは、パソコンやスマートフォンに搭載したカメラ、そして通話アプリを通じた対戦のこと。しかし、ただリモートに移行するだけでコミュニティの間でモチベーションは回復するのか?そう簡単な話ではないのではないかとCHANGさんは指摘します。

何故なら、リアルの場所を通じて行うカードゲームの対戦ならではの、人と人が対面して話し、そして戦うことで生まれる「その場限りの熱量」がリモート対戦には欠けており、何よりそうした熱量を通じて、新しい人と出会うことができません。リモートでの対戦は現実の場所の代替手段にはなりえないのです。

そこで、CHANGさんは「オンラインならではの魅力」、つまりオフラインではなかなか超えられない地域の枠組みを超えたコミュニティを形成することが大切だと話します。

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まず、CHANGさんらは競技志向の強いプレイヤーに向けて「ポケモンジャパンナショナルオンライン」のカード部門の企画も取りまとめられました。これは『ポッ拳』、『ポケットモンスター ソード・シールド』等ビデオゲームを交え、地域そしてゲームの枠組みさえ超えた猛者同士の戦いを実現するもの。プレイヤーだけでなく、ジャッジや運営陣も各界を超えたスペシャリストが集まり、交流できるメリットもあります。

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次に「Vスタートデッキ 東西バトル」を開催しました。これは初心者が入りやすいよう僅か500円で販売されている「Vスタートデッキ」を使う大会で、各プレイヤーを「東」「西」に振り分け、さながら「国盗り合戦」のようにプレイヤー同士の対戦結果が各陣営に反映されていく大会を、1か月半毎日開催したもの。こちらは最終的に300人が参加する、大盛況のものとなりました。

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これらの大会には、「オフラインの代替案としてのオンライン」ではなく、あくまで「オンラインならでは」の可能性を検討した末の魅力が詰まっています。場所や時間を問わないからこそ常に参加できる飛び込みやすさ、またログが常に確認できるうえに粒ぞろいのジャッジを揃えたことの公平性、そして何より、地域に依存せず全国に広がるコミュニティを作り、普段なら絶対に会えないような人とポケカを通じて絆を築けたことが、大きな魅力と言えるでしょう。

もちろん、依然としてオフラインの魅力はあります。ウィズ・コロナにおいて大切なのは、オフライン、オンラインでのイベントを両側から構築し、いっそコミュニティの可処分時間を全部使ってもらおうという意欲ではないかとCHANGさんは締めくくりました。

トークの内容をより詳しく知りたい方は、こちらのリンクから当日の「こみゅリポ」のアーカイブをご覧ください!

※配信の音声が少し乱れております。

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