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ハーフモーダル(半モーダル)の時代が到来!【スマホサイトのUIデザイン】

クリスマスから唐突に開始されるUIデザイン研究。
私はWEBディレクターとして、現場でよく使われるUIデザインを研究しています。

UIデザインにおいて、使いやすいデザインを研究する際、参考にすべきものは、「大手サイト・大手サービスのUI」です。

大手はお金をかけてUI・UXの研究を行っており、CVRがより高くなるデザインで常に最先端を走っています。我々は研究する土俵が少ない中で、それらを後追いしていくことが最も「効率的」なのです。

今回はAppleやGoogleなど、大手が軒並み採用し始めている「ハーフモーダル」についてお話しましょう。

感動するほど使いやすい「ハーフモーダル」とは?


ハーフモーダルとは、画面下部から表示され、画面の半分までで表示されるモーダルを指します。

半モーダル、セミモーダルとも呼ばれるUIデザインになります。

メリットとしては以下のようなものがあります。

・画面が「遷移していない」ことを示し、UXを向上させる
→その画面内のアクションであることをユーザーに示せる

・スマホによるアクションがとにかく楽
→スマホを持ち替えなくとも操作できる


スマホ使用時の「アクション」に特化したUI

スマートフォンを持っている時、画面の中で一番操作しやすい場所はどこでしょうか?「画面の下半分」ですよね。

ハーフモダールは、画面下半分で必要なアクションを操作できるUIなのです。

従来、モーダルといえば「画面中央」に表示されたり、ハンバーガーメニューの「画面横からスライド」するような表示方法が主流でした。


アマゾンのハンバーガーメニュー。各ページへの導線なので、縦に長くスクロールできる仕様


Youtubeのモーダル。モーダルといえば、これ。

従来のモーダルは、指を少しスライドさせて、画面上部〜中央を触る必要がありました。

ただ、ハーフモーダルを使用する際は、指をスライドする必要がありません。そこにUX的な観点での「楽」が存在するわけですね。


もっとも有名なハーフモーダルといえば?

スマホにおけるハーフモーダルとは、最近登場したUIなのでしょうか?それは違います。本来、ハーフモーダルは「入力キーボード」で採用されていたUIデザインです。


もし、キーボードが画面上部にあったら、指が疲労骨折してしまいます。
スマホにおいて「アクションを起こす場は画面下部」だと相場は決まっているのです。


普通のモーダルとハーフモーダル、使い分けは?

では、普通のモーダルとハーフモーダルの使い方はどう違うのでしょうか?ただただ見栄えがよく、流行しているからハーフモーダルを使用するのでしょうか?

それは違うと考えています。

ハーフモーダルと普通のモーダルで、使い分けは「その画面のメインはどこなのか?」を考えるべきです。

例えば、グーグルマップの場合、メインは「地図」です。ハーフモーダルは、アクションを起こす場であり、その画面のメインではありません。

もし、グーグルマップで、スポットをクリックしたときに、全面にモーダルが表示されたら、下の地図は動作させることができません。ユーザーは「地図ではない画面に遷移した」と錯覚するのです。

グーグルマップは、ハーフモーダルを採用する意味が伝わる設計になっていますよね。

逆に、全面モーダルを使用する意味は、そのモーダル画面が「メイン」であるということです。

例えば、求人サイトの検索を「ハーフモーダル」で実装した場合はどうでしょうか?絞り込み検索は、「絞り込みをする」ということがメインです。別に、その下のレイヤーにあるトップページなどは別に見えなくても良いはずです。

モーダル下のレイヤーにある画面が見えるべきか?見えなくても問題ないか?で決めていく必要があるでしょう。


世界中のサービスで「ハーフモーダル」が使用されている

主にスマホアプリにおいて、このハーフモーダルは多用されていることがわかります。

ハーフモーダルを採用しているサービスは多岐に渡りますが、以下のようなブランドでハーフモーダルを使用しています。

・Apple(IOS13以降)

App storeのハーフモーダル。ユーザーのアクションを促す役割がある


・Google Map

画面下半分で各種情報を見ることができる。アクション時、画面の9割まで上部に拡大可能。



・Youtube

最近はSNSのように気軽にショート動画を投稿できるようになった。



・Amazon

画面遷移せず、購入をハーフモーダル内で完結できる。UX抜群


個人的に感動したのは、Amazonの決済画面です。
これまで、購入の際は画面遷移していたイメージでした。
しかし、現在は画面遷移せず、ハーフモーダル内で全ての決済が行えるようなUIになっています。

購入までとてもシームレスに行うことができ、UXがとても良いです。

他にも例を出すと、スーモのアプリなどが好例ですね。
個人的な見解ですが、日本一使いやすいアプリだと感じています。(多くの優秀な人材がUI・UXを研究しているのでしょう。)

お部屋探しの革命。地図上の住宅リストを、画面下部でスクロールして探せる

毎日のように物件情報を見て回っています!!


ECサイトにハーフモーダルは必要か?

ECサイトの検索UIにハーフモーダルを利用しているサイトもあります。

こちらは「ebay」という世界最大級のオークションサイトのUIです。

簡易的な絞り込み検索機能がハーフモーダルで使用可能。
全ての検索を使用する際は、全画面のモーダルとなる。

上記のように、簡易的な検索をハーフモーダルで行うことが可能です。もし、詳細な検索を行いたい場合は「全て表示」で詳細検索モーダルが表示されるような仕様ですね。

これは、「タブ」を切り替える際に使用します。正直、検索系のUIであれば、ハーフモーダルは別に必要ないかと思います。

アマゾンの決済用モーダルUIのように、その画面内のアクションに関わる簡易的な導線は、ハーフモーダルを使用するとユーザビリティが上がりそう。

ハーフモーダルは流行りで見栄えも良いですが、ユーザーにとって「どこで使用すると使い勝手がよいか?」を考えるべきですね。

開発や実装は難しいのか?

非エンジニアの私としては、開発工数や実装可能なハーフモーダルを知っておく必要があります。

調べてみると、いろいろな意見があります。
アプリ的な挙動のため、Swiftでの実装記事が多めでした。

実装したいアクションによって、開発難易度は格段に違います。
例えば、ハーフモーダルを閉じるときの挙動として、下にスクロールすると閉じるというIOSのような挙動があります。

しかし、これを実装しようとすると、既存ブラウザのスクロールジェスチャと衝突し、うまく動かなくなるなどの不具合が発生した例があるようです。

この他、モーダル内で下にスクロールさせるような仕様を想定した場合で、下レイヤーのスクロールと噛み合わせが悪く、挙動が安定しないなどの例もありました。

モーダルなので、そこまで開発が難しくないのでは?と思うかもしれません。しかし、やりたいことによっては、既存のジェスチャやアクションと要素がかぶり、うまく実装できないケースが多々あるようでした。

この時「なぜハーフモーダルである必要があるのか」という原理に基づいて行動する必要があります。
実装できなくても、ユーザビリティに大きな問題があるわけではありません。

ハーフモーダルの実装工数が膨大になる場合、他の方法でユーザビリティを高めるか、実装できるエンジニアを探す必要がありますね。

ハーフモーダルが主流の時代が来る?

アプリのように、頻繁に画面内で操作が起こる場合、ハーフモーダルは使い勝手の良いUIだと言えます。

画面内の主役を助ける役割があるUIなので、実装の際、「必要性」をきちんと考えて使っていきたいですね!



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