見出し画像

誤解です、大金です!

老化を感じる瞬間というものがいろいろありますが、最近急にある変化に気づきました。私は今の職場に来て10年以上になりますが、今まで気にならなかったことがなぜか急に気になるようになったのです。

突然気づいたこと

ひとつは、エレベーターから降りるときです。目的の階に到着すると、「5階です」と涼やかな女性の声でアナウンスがあるのですが、あるときこのアナウンスが聞こえたあと、「何が?」と心の中でつぶやく自分の声が聞こえたのです。

つまり、唐突に女性の声で「誤解です」と言われたように感じたのです。何の文脈もなく「誤解です」と言われたので、え、何が?何のこと?と心の中でうろたえてしまったわけです。

今までそんなことはなかったのに、いったい何でそんなふうに感じられるようになったのでしょう??

もうひとつ、気づいたことがあります。出退勤の時に自分のカードをカードリーダーにかざすと記録されるわけですが、この時「出勤です」「退勤です」とやはり女性の声でアナウンスされます。

ある時、いつものように帰宅時カードをかざしたら、「大金です」と聞こえ、「えっ、うそ。どこに?」という気持ちが湧いたのです。

カードリーダーの場合、出勤・退勤ボタンを押して適切な方を選択した上でカードをかざす必要があるため、注意喚起の意味があってどちらに記録されたかを声で教えてくれるのだと思うのですが、考えてみたら唐突に「退勤です」と言われる文脈はあまりないですよね。自分では今退勤しようとしていることは分かっているわけですから。それを言うならむしろ,「退勤記録が完了しました」が適切でしょう。

おもてなしの不思議な構造

海外ではどうなんでしょう?あまり気をつけてみたことがないですが、エレベーターなら、そもそも何も言わず音だけではないでしょうか。言っても5th Floor などと短く単語だけ言うような気がします。日本のエレベーターが「です」をつけているのは、一種のおもてなしなのでしょうか。

出退勤のときは、海外のものは何も言わないのでは?と思いChatGPTに聞いてみたところ、海外でもあるそうで、①視覚障害者への配慮②従業員の多い企業など直感的な確認が必要な場合には音声アナウンスつきのものが採用される、との返事でした。

その場合、
出勤です→ You have clocked in.
退勤です→ You have clocked out.

で、英語だとちゃんとした文にせざるを得ないですね。

確かに、ただの「退勤です」が成り立つのは日本語だからであって、主語はないけれど丁寧に「です」はついているため、何か話しかけられたように感じてしまうのかもしれません。せめて「退勤しました」にしてもらうと、少し文脈が作られて自然な表現になるのではないかと思います。

オヤジギャグのメカニズム?

ところで、それまで違和感なく聞いていたアナウンスが、なぜゴカイ→誤解、タイキン→大金と意味を広げて聞き取るようになったのでしょう?知らない人から「誤解です」とすがられるのも、「大金です」と情報提供されるのも、ちょっと面白いですよね。

こういうのを面白がるのは、一種のダジャレ、またはオヤジギャグというジャンルに入るのでしょうか。

以前、「チコちゃんに叱られる」でこのオヤジギャグのメカニズムについての仮説を取り上げていました。

それによると、中年になってボキャブラリーが増えて連想記憶が豊かになったところに、加齢で抑制力が低下するために言ってしまうのだという説明でした。

ほんとでしょうかね??確かに,年とともに抑制が効かなくなってキレやすくなる人とか、自説を主張して止まらなくなる人とかをよく見かけますし、自分自身も以前より遠慮がなくなったのは抑制がとれてきたからかも、と自覚します(オヤジではありませんが…)。

でももし、今回の「誤解です大金です」現象もオヤジギャグメカニズムと関係するのだとしたら、抑制障害のためではないように感じます。

むしろ、その場面に合わせて文脈に合う意味を抽出する能力が落ちたか、もう合わせるのに飽きて、文脈と関係なく想起された別の意味の可能性を抽出するようになってきたのかもしれません。注意障害とか、疲れによる集中力低下とか、複数のきっかけがあるように思います。

いずれにしろボーっとしているからかもしれませんね。まさにチコちゃんに叱られそうです(笑)。

この記事が参加している募集

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?