T君のはなし
今年の3月で、一人の生徒さんが辞める。
春から高校生になりカリキュラムが大きく変わるため、一度習い事を全て辞めたいとのこと。
確か、こもれびに入ったのも同じ3月。
彼がまだ小学6年生で、もうすぐ中学校に入学するというタイミング。
英語はたしか小学校で少し触れた程度で、アルファベットから一緒に始めた。
小文字の「b」と「d」をよく書き間違えたりしたのだけれど、
それもいつからか無くなっていった。
理解も覚えも早かったから、正直本人も必死にやっているわけでもなさそうだったけれど、
巻き戻ることもほとんどなかった。
彼はピアノを習っていたから、たまに音楽の話もした。
(ちなみにその彼のピアノの先生は、昔こもれびがまだ武蔵小金井にあった頃にフランス語を取ってくださっていた方。)
少し自分の話をすると、
彼が通い始めた当時、僕はまだ大学生だったから、
大学の授業が終わったあとこもれびに行って授業をしたり、
大学の空きコマにこもれびで授業をして、また大学に戻るなんてこともやった記憶がある。
そんなことも思い出してきた。
話を戻すと、
学生がシェアスペースでやっているような塾を選んでくれて、
もしかしたらこもれびに言いたいこともあったかもしれないけれど、
当時から今まで特に何か口出しをしたり成績の話をしたりするわけでもなく
ただただ息子さんの授業を任せてくれた親御さんも、
だから印象的だったし素敵だと思った。
一度、この話を本人にしたら彼は、
「周りの話を聞くと、自分のところの親はそういう意味ではいい親なんだと思う。」
といったようなことを言っていた。
彼はいつも、話す時に繕った感じがあまりなかった。だし、それが良かった。
もちろん自分が見たのは本人のたった一面であって、
悩んだり落ち込んだりしていることもあるかもしれないけれど、
少なくとも僕が見た彼は、
鈍感なわけでもなく、
単純に色々なことに脅威を感じていないということだった。
負けずにはいられないなど考える必要が無いところに強さを感じたし、
そこには繕った自己肯定も無かった。
こういう人を、素敵だと思う。
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そうそう、今日はちょうどそんな彼との授業だったんですよ。
小学生だった彼ももう高校生か…と思いながら、今これを書いています。
あと「巻き戻ること」ですが、僕は良いことだと思います。
前に進むためには、それ以上に後ろを振り返ることだって、時には。
(2020.1.17)
転載元:語学塾こもれび スタッフブログ
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