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こもれびより ~commoré-biyori~ vol.3「数学は言葉」(2018/10/27) レポート

去る10月27日(土)にイベント「こもれびより~commoré-biyori~vol.3」を開催いたしました。通ってくださっている生徒さんとその親御さん方をはじめ、12名がご参加くださり、話の尽きない賑やかな会となりました。参加してくださった皆様、ありがとうございました。

今回は「数学は言葉」というテーマでお送りいたしました。「語学」を名に冠していて、科目としては英語・フランス語・国語・数学を扱っている当塾。英語・フランス語・国語、まではわかるけれど、数学も「語学塾」で教えてるの?というのはよくある質問なのですが、今回はその答えになるようなことをお伝えできたら、との思いからテーマを決めました。文系と理系という分け方があるためか、文系人間だから言葉は好きだけれど数学はちょっと…という方も多いと思いますが(かく言うわたくし塚本もそうです)、今回のイベントが苦手な数学に一歩近づくきっかけになっていれば幸いです。

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前半は、普段のこもれびでの授業で伝えていることをギュッと凝縮して、志村講師によるミニ講義をお届けしました。

始めにいきなりフランス語で何かを話し出した志村講師。内容を理解できたのは当然フランス語を学んだことのある数名だけでした。ですが、今度は出てくる数字をホワイトボードに書き出しながら同じ一文を話してみると、数字のおかげでフランス語が分からない方も何を言っていたのかなんとなくわかるようになりました。

ここでいったん「言葉」とは何なのかという大切なところを確認しておきたいですね。一人の生徒さんに尋ねたところ、こんな答えが返ってきました。「コミュニケーションのツールだけど、言葉で何でも伝えられるのかというとそういうわけでもないと思う」。ご名答です…ここでは簡単に「何かを伝えるためのもの」としておきます。

今回のテーマ「数学は言葉」の真偽を確かめてみようということで、内田樹さんの『私家版・ユダヤ文化論』という本で用いられている考え方をヒントにしてみました。この本の中では、ある命題とその対偶の真偽は一致することを使って、ユダヤ人とは誰なのかを明らかにしようとしています。

逆、裏、対偶ってなんだっけ?という方は以下の図を見てみてください。「象なら鼻が長い」の真偽を確かめたいときには、対偶である命題「鼻が長くないなら象じゃない」の真偽を見ればよいのです。「鼻が長くないなら象じゃない」は真なので、元の命題「象なら鼻が長い」も真というわけです。

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では、命題を「数学なら言葉(=伝わる)」に置き換えてみます。すると、対偶は「言葉じゃないなら(=伝わらないなら)数学じゃない」となります。この命題の真偽はどうでしょうか。冒頭で見たように、数字があったおかげで外国語という壁を越えて内容が伝わりました。そして、数学の言葉、つまり数学が何かを伝えるために用いるものというのは「論理」だと言えます。なので、伝わらないものは数学とは言えません。したがって、「言葉じゃないなら(=伝わらないなら)数学じゃない」は真。ということは、元の命題も真ということになるのです。

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個人的な所感になってしまいますが、もっと早くに数学は言葉なんだということに気づけていれば、数学を苦手だと思うことはなかったかもしれないと思ってしまいました。普段からうっかりしている私は数字と向き合うと、とにかく計算ミスが多くて、小中学生の頃は親に、計算ミスをするごとに100円という罰金制度を設けられたほどでした...。そのせいで、数学というのは計算力をあげるためにやっているもの、という意識ができてしまったのかな、と振り返ってみて思いました。

このような感じで、ミニ講義の後は質疑応答を経て、参加者の皆さんが数学の中で得意な分野、苦手な分野を言いあったり、各々の数学に対する向き合い方を口にしたり、と盛り上がりました。

お子さんも大人の方も、遅すぎるということはないので、今回のイベントを通して数学のことを考え直してみていただけたらと思います。

ちなみに…イベントでは毎回、スタッフ塚本の手作りお菓子をお出ししております。今回は、ビスコッティというイタリアの焼き菓子を作りました。ビスコッティというのは、イタリア語で「2回焼いた」という意味だそうで、本当にオーブンで2回焼いて作るんです!イベントも3回目となり、だんだん腕も上がってきた頃かと思いたいので、次回も期待していてください。

次回の「こもれびより」は12月某日に開催予定です。

たくさんのご参加をお待ちしております!

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