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「セブン&アイ井阪社長、コンビニ成長『食の強み全面に』」に注目!

セブン&アイ井阪社長、コンビニ成長「食の強み前面に」 - 日本経済新聞 (nikkei.com)

人流回復に伴いコンビニエンスストアが好調です。セブン&アイ・ホールディングスは祖業のイトーヨーカ堂の再建を進めつつ、コンビニ事業に一段と経営資源を集中させます。成長のビジョンをどう描くのでしょうか。井阪隆一社長のインタビュー記事です。

少子化が進み大量出店が難しい中、国内をどう伸ばしていくかについては「在宅勤務が増えたことで自宅近くで消費する動きが広がった。消費者ニーズの変化に対応できれば各店舗の売上高はまだ伸ばせる。商圏が狭くなっているため立地を厳選して、年100店以上の店舗増ができると考えている」とコメントしました。

また、コンビニ事業の拡大を支える海外市場の攻め方については「新規出店と1店舗当たりの売り上げ増の2軸で伸ばす。いたずらに店舗数を追うのは成長でなく膨張だ。アジアは人口が増えており平均年齢も若い。経済成長に歩調を合わせて店舗網を拡大していく考えだ」

「店内調理の食品は強みとなる。米国で販売するホットドッグやピザ、日本のスムージーや揚げ物などの需要は高い。既存店の売上高を伸ばす『質の成長』に向け、現地の運営会社への出資も増えるだろう」と回答しています。

スピードウェイを買収した米国事業の戦略については「足元で米国に約1万3千店を持つ。自前で年200店を出店できるが時間がかかる。M&A(合併・買収)も織り交ぜれば中期的に日本の店舗数(約2万1千店)を超える可能性が高い。店舗密度が濃くなればサプライチェーン(供給網)の効率性は高まる」との回答でした。

リアル店舗の有効活用やデジタル技術との融合について考えを問われると「最短30分以内に商品を宅配する『セブンNOW』の伸び代は大きい。プラットフォーマーとして米国で約9500万人、日本で約3千万人を擁するアプリやサイトの会員に個別で割引情報を配信する。将来はヘルスケア分野で他の企業と連携し、会員の健康状況に応じた食の提案を視野に入れる」とのことでした。

また、苦戦が続くヨーカ堂の業績については「19のプロジェクトチームが業務効率化やコスト削減などに取り組んでいる。既存店の月次売上高は前年実績を下回る月が多いが、ヨーカ堂の業績は過渡期にある。2024年度の最終損益も厳しいものの、うみを出し切るつもりでいる」

「2023年9月にヨークとヨーカ堂を統合した。本部機能の集約などで出た余剰人員は8月に稼働したネットスーパーやセントラルキッチンなどに移っている。2026年2月期に首都圏のスーパー事業を黒字転換する従来の方針は変えていない」とコメントしています。

「顧客とのリアルの接点としてコンビニ店舗は強い」。井阪社長はコンビニ事業をセブン&アイの主力に据える理由を語りました。世界で8万4千店を数える同事業がグループ全体の営業利益に占める割合は9割を超えます。業績をみればスーパーや外食など他のグループ会社との格差は大きいです。

コンビニ事業の分離を求めた投資ファンドの米バリューアクト・キャピタルについては、大株主は外れましたが依然として株を保有しているもようです。グループ全体の成長戦略を進め、高い目標とされる中期経営計画を達成できるか試されています。

セブン&アイは「食」を中心とした世界トップクラスのリテールグループを2030年に目指しています。「食」の強みを軸として国内外のコンビニエンスストア事業の成長戦略にフォーカスすることで、成長を加速していく方針です。

直近ではセブンイレブン・オーストラリアを買収し、シナジーを促進しようとしています。

今後、「食」を中心としてどのような成長を実現していくのかに期待しています。