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「ダイキン、アフリカで空調生産 グローバルサウス開拓」に注目!

ダイキン、アフリカで空調生産 グローバルサウス開拓 - 日本経済新聞 (nikkei.com)

ダイキン工業はアフリカで住宅用空調の生産網を構築します。ナイジェリアで組み立てラインを設けたのを皮切りに、アルジェリアでも生産の準備を進めます。製品輸入を前提とするアフリカ展開から一歩進めます。アフリカは人口増で高い経済成長が見込まれます。新興国・途上国を指す「グローバルサウス」の成長を見越した日本企業の動きが本格化してきました。

国連は2024年のアフリカの経済成長率を3.5%と推定し、世界全体の成長率(2.4%)を上回ります。住宅用空調は世界全体の普及率が60%程度なのに対し、アフリカは3%前後です。日本冷凍空調工業会によると業務用を含むアフリカの空調市場は2022年に360万台で、3年間で1割強拡大しており成長の余地は大きいです。

このほどナイジェリアの代理店の拠点に組み立てラインを設けて生産を始めました。インドの拠点から部品を調達し、現地で組み立てを担います。室内機や室外機、圧縮機など空調を構成する機器ごとに部品を仕分けて送り組み立て作業を効率化します。生産技術者はインドから派遣し、性能などを検査する装置も導入して品質の高い製品を供給します。

生産量は受注に応じて調整し、将来的に数万台規模を見込みます。投資額は明らかにしていません。アルジェリアでも生産に向けた拠点確保の準備を進めており、アフリカの北部と中部から製品を供給できる体制を整えます。

ダイキンは環境負荷の少ないヒートポンプ暖房や消費電力を抑えた空調に強いですが、アフリカでのシェアは2〜3%程度です。空調事業のアフリカ売上高は2023年3月期に143億円で、全体に占める割合は1%以下です。従来は域外から完成品を輸出しており、関税負担から現地に生産拠点を持つLG電子や中国の珠海格力電器などに苦戦していました。

安価な部品をインドから送ってアフリカで組み立てれば、完成品を輸出して販売するのに比べて関税負担が下がります。現地生産拠点を設けることで、アフリカ市場向けの空調価格は6万〜7万円台に抑えられるもようです。3万〜4万円前後とみられる中国勢に比べて依然高いですが、省エネ性の高さなど性能差で購入の選択肢に入るとみています。

ダイキンはアフリカ開拓に向け、ケニアやタンザニアなどで空調の据え付け技術者の育成も始めました。従来よりコストを抑えた機種の開発も急いでいます。機能を抑えた上で安価な部品の比率も増やし、LGなどに対抗できる価格帯の商品を充実させる考えです。

ダイキンは主なアフリカ拠点では、南アフリカやエジプトに販売拠点を、タンザニアでサブスクリプション型で空調を展開しています。

例えば欧州では、ヒートポンプ暖房・給湯市場の拡大に向けてルールメイキングに取り組んできました。その成果としてヒートポンプが太陽光発電や風力発電と同様に再生可能エネルギー利用技術に認定され、市場が拡大しました。アフリカにおいても、ルールづくりによる市場拡大とダイキンの成長に期待しています。