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「クボタ、農薬を最大8割削減 精密散布システムを世界に」に注目!

クボタ、農薬を最大8割削減 精密散布システムを世界に - 日本経済新聞 (nikkei.com)

クボタは農薬の散布量を精緻に調整するシステムを、2025年にも海外で販売します。トラクターに搭載したカメラなどで果樹の高さや生育状況、虫の有無などを把握し、必要な場所に農薬をまくことで散布量を最大8割減らします。欧州委員会が農薬の使用量を半減させる目標を掲げるなど、農業でも環境負荷を抑える取り組みが進んでいることに対応します。

スペイン子会社のフェデが開発している農薬散布用のシステムを2025年にも実用化します。トラクターの先端に取り付けた複数のカメラで、農薬を散布する果樹の位置や高さ、果実の育成状況、葉の生い茂り方、害虫のいる場所などのデータを取得します。得られたデータをもとに、農薬の量や噴き出す方向をリアルタイムで調整します。

フェデは農薬の量や散布する方向、位置を調整し、狙った場所に噴き出す機器が強みです。オリーブやリンゴなど果樹ごとに専用の散布機を手がけており、地上で散布する場合はクボタが得意とする小型トラクターなどに取り付けて作業するケースも多いです。地上で散布した場合でも農薬の半分ほどは目的外の場所に飛散するとされていますが、害虫の場所などを特定して正確に散布できれば、農薬の量を5〜8割ほど減らせるといいます。

2024年にブドウやリンゴ、オリーブなどの農園で、精密散布の効果を確認する実証試験を始めます。果物の種類によって実のなる高さなどが異なります。果実ごとに適切な散布方法を確立し、南米や北米、欧州、アジアなどで精密散布のシステムを販売します。フェデはクボタの販売網を活用し、2030年をメドに売上高を現在の約8倍にあたる「4700万ユーロ(約75億円)を目指す」(フェデ・ペレス社長)。

欧州委員会は2030年までに、化学農薬の使用量を2015〜2017年の年平均に比べて半減させる目標を掲げています。現時点で規制などがない地域でも、環境意識の高まりによって農薬の使用量を制限する動きが広がる可能性があります。農薬の使用量を大幅に抑えることで、収量を確保しながらコストを削減する効果も期待できます。

自動化や効率化などスマート農業への投資は今後、大規模農家などを中心に活発化する見通しです。矢野経済研究所によると、国内のスマート農業の市場規模は2029年度に708億円と、2022年度の2倍強に増える見通しです。空中からの農薬散布ではドローンの活用が進むなど、世界でスマート農業の導入が進んでいます。クボタは足元で作業機メーカーの買収を続けており、センサーなどの技術と組み合わせてスマート農業への対応を急ぎます。

EUでは、人間の健康と自然環境の保護を目的とする目的で、化学農薬の使用量を2030年までにEU域内全体で50%削減するとした規制案を発表しています。ドイツやフランスでは農薬の削減に取り組んでいるとのことです。

現在使用している農薬の代替品が今後出てくるとは思いますが、クボタの取り組みは農薬散布システムを実用化することで、使用量を最大8割削減できるというものです。農家にとっては採用しやすい取り組みだと思いますので、農薬の使用量削減という課題解決につながればよいと思いました。