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「セブン銀ATM、東南アに活路 入金・生体認証など拡充」に注目!

セブン銀行ATM、東南アジアに活路 入金・生体認証など拡充 - 日本経済新聞 (nikkei.com)

セブン銀行が東南アジアでコンビニエンスストア内に置くATMの事業を拡大します。先行する日本や米国よりも利用増が見込めるためで、進出国を増やすとともに、現金の引き出しだけから入金などをATMの機能に追加します。金融機能を充実させるなど、日本の経験を生かして「コンビニのインフラ化」の一翼を担います。

海外でATMを設置している国は米国、インドネシア、フィリピンの3カ国。2023年末時点で海外の台数は計約2万台あります。日本国内の約2万7000台に迫るなど、同社は国内ATM事業頼りの収益構造から脱却を目指しています。

松橋正明社長は「個人向け金融事業などと並んで、海外分野の拡充を成長戦略の柱と位置づけている」と語ります。海外では銀行業を手掛けておらず、提携する金融機関からの手数料収入が中心となります。海外売上高を2021年の253億円から2025年には650億円まで拡大することを目指します。

目標達成に向けて、マレーシアへの進出を決めました。現地でセブンイレブンを約2500店展開する地元企業などの出資を受けて、現地子会社を設立しました。こうした店舗網などにATMを11月から順次設ける予定です。

進出済みのフィリピンでは「スーパーマーケットやショッピングモールなどへのATMの展開も検討中」(永嶋恒雄常務執行役員)。全国3000店舗強のセブンイレブンにATMの設置をほぼ終えたためです。

セブンイレブンがないインドネシアでは、アルファマートとインドマレットの現地コンビニ大手2社の店舗にATMを設置しています。これまで首都ジャカルタが位置するジャワ島を中心に導入してきましたが、今後は経済発展が続くスマトラ島やスラウェシ島などへの展開も急ぎます。

東南アジアで設置台数を増やす背景には、米国などの先進国に比べてATMの普及率が低いことが挙げられます。世界銀行の調べでは、2021年時点の成人10万人当たりで日本の116台に対して、フィリピンは29台、インドネシアは48台、マレーシアは54台にとどまります。

各国では人口が増加し、日本よりも高い経済成長が続く中で、セブン銀は現金の需要が依然として高く、ATMはさらに普及するとみています。

フィリピンでは設置台数が3017台と過去2年間で2.4倍に、インドネシアは7959台で3.1倍にそれぞれ増えました。2カ国で海外ATM台数の半数を超えました。取引件数についてもフィリピンは2年間で11倍以上に拡大し、1日1台当たりでは167件になりました。両国での取引件数は海外全体の3分の2を占める。

セブン銀が東南アジア3カ国で進めるのは、単に台数を増やすだけではありません。これまでは現金を引き出せるだけの機種が多かったですが、日本の経験を生かして機能を多様にした「進化型ATM」への移行をめざします。

フィリピンでは当初から、セブンイレブン店舗の売上金をATMに入れて口座に移す機能が付いていますが、今後は近隣店舗などの売り上げも入金できるようにしたり、電子マネーをチャージできるようにしたりする方向です。現地政府と協力して、身分証明書に付いている所有者の指紋情報とATMの生体認証機能をつなげて、本人確認に使う実証試験も始めました。

インドネシアやマレーシアも含めて、提携銀行の口座開設や融資への誘導、行政手続きなどサービスの拡充を徐々に進める方向です。人工知能(AI)による現金需要予測も活用します。こうした取り組みで日本と同じようにコンビニを社会インフラとして市民生活に欠かせない存在に高めることをめざします。

ただ東南アジアでは、電子マネーなどキャッシュレス決済も拡大傾向にあります。米グーグルなどによると、決済総額のうち現金が占める割合は2022年の52%から2030年には34%まで低下する見込みです。

こうした状況に対し東南アジアの金融事情に詳しい国際通貨研究所の福地亜希主任研究員は「デジタル決済は増えているものの電子マネーのチャージで現金を使う人もかなりいるので、国によってはATMの需要は増えそうだ」と話しています。

日本ではセブンイレブンにセブン銀行があり、様々なサービスを受けることができます。このような利便性を海外でも展開することで、コンビニの利用の拡大といった相乗効果も見込めると思います。

セブン銀行は「お客さまの『あったらいいな』を超えて、日常の未来を生みだし続ける。」会社です。テンキー一つとっても、利用者が使いやすいものを開発しているそうです。

これからも、生活に欠かせない企業として成長していくことに期待しています。

※文中に記載の内容は特定銘柄の売買などの推奨、または価格などの上昇や下落を示唆するものではありません。