憑依

映画「82年生まれ、キム・ジヨン」を観て、ストーリーの本質とは少しずれるかもしれないけど、原作読んだ時から気になっていたことの覚え書き(特に面白くないです)。


キム・ジヨンが、産後うつからの育児うつにより発症したのが、母や祖母など身近な女性が乗り移ったかのように喋りだす症状。ジヨン本人が知り得ないようなことまで語る様子も、原作では描かれていた。
キム・ジヨンは、人よりも敏感に現実世界の矛盾に反応して、集合的無意識にアクセスできる才能があったということだと思う。
映画では、最後にジヨンが小説を書き始めるところで終わっていて、フェミニズムの文脈とは全然違うところで、なるほどと合点がいった。
精神的に極限までいくことにより、語り部とか、シャーマン的な憑依体質になることがあるのかもしれない。
キム・ジヨンの境遇は決して特殊なものではなく、きっと大半の女性が諦めて乗り越えてきたものだった。だからといって、ジヨンが「弱い」わけではない。その感受性を受け止めて生かす余白が世の中にないと、歴史から脈々と受け継いできた大事なものを見落としてしまうのだとあらためて思った。以上。


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