「暴走外科医がやってきた」✨台湾 社会派ドラマの進化

2000年代初頭「花より男子」を皮切りに日本のコミックス原作のラブコメドラマが汎アジアを魅了した台湾ドラマ。あれから20年以上が経過し、新たなトレンドが生まれている。

その皮切りは2019年に製作された「悪との距離」(原題:我們與惡的距離)と「時をかける愛」(原題:想見你)「R.I.P. 霊異街11号」(原題:靈異街11號)。この3作品を源流に新たな台湾ドラマの潮流が生まれている。

医療系台湾ドラマとして大ヒットした「暴走外科医がやってきた」(原題:村裡來了個暴走女外科、以下「暴外科」と記す)は、「悪との距離」の流れをくむ社会問題の再定義を目指す"社会派ドラマ"。
NHKに相当する台湾の公共放送 公視電視台 PTSが製作する社会派ドラマは、続く「火神の涙」(原題:火神的眼淚)まで、真正面から問題の追求を試みた。真摯に向き合い、描き続ける胆力は、視聴者を圧倒した。しかし、圧倒しすぎて<救いの無さ>を生む側面もあったと言える。

そんな中、台湾の地方医療の問題点に警鐘をあげる女性医師の小説を原作に賴 孟傑(ライ・モンジエ)が監督した「暴外科」は進化していた。2022年のことである。

「社会的な問題を描くには、コメディにしてこそ、視聴者に届く」この賴孟傑監督コメントに全てが集約される。つまり「悪との距離」にコメディタッチを加えることで、社会問題を描き出す名作が誕生することに。

それは単純なコメディ追加ではなく、タランティーノ監督のような破天荒さを伴っていた。それが、笑い以上に爽快感を与え、視聴者を魅了させた。

蔡 淑臻(ジャネル・ツァイ)

主演の女医を演じる蔡 淑臻(ジャネル・ツァイ)と本作の出会いも、痛快である。監督から作品の意義を伝えられ、発起人の一人としてドラマを支えた蔡淑臻は、自然とその主演を演じていくことになる。(詳細は、Blu-rayの特典映像ディスクに収録)

ちなみに、華流ファンの方なら、蔡淑臻はよく目にした女優である。主演女優を支える役として「進め!キラメキ女子」「結婚って、幸せですか」「結婚って、幸せですか THE MOVIE」などに出演している。
「暴外科」は、蔡淑臻の主演代表作であると同時に、人間としても大きく成長できた作品と語る。

キャスト
■劉梓旭(リウ・ズーシュー)役:蔡淑臻(ジャネル・ツァイ)
「結婚って幸せですか」(’10)「進め!キラメキ女子」(’11)『結婚って幸せですか The Movie』(’12)
■林山君(リン・シャンジュン)役:朱軒洋 ベラント・チュウ
「追撃者〜逆局〜」 (’21) 、映画『哭悲』(‘21)
■阿鬼(アグイ)役:風田 フォンティエン
台湾発グループSpeXial日本人メンバー 青森出身
「マツコ会議」(’21)、「終極一班4」(‘16)、「終極一班5」(‘18)
■江緹娜(ジアン・ティナ)役:杜妍(ドゥー・イェン)
「マイ・リトル・プリンセス 親愛なるお姫様病」(‘16)
■阿亮(アリャン)役:張再興(ジャン・ザイシン)
「R.I.P 霊異街11号」(‘19)

原作:医師 劉宗瑀(リウ・ゾンユー)著 小説 「村里来了個暴走女外科医」
監督 / 脚本: 賴孟傑(ライ・モンジエ)
プロデューサー:ジャン・ユーシャン (詹于珊)、ジャン・ズーイー(詹子誼)
製作:公共電視 PTS
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