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「嬉しい!悔しい!悲しい!」を原稿にぶつけよう【comicoタテカラー®漫画賞2024】

comicoでデビューを目指す方に向けた「comicoタテカラー®漫画賞2024」が、8月15日(木)より募集スタート!
前回に引き続き「オールジャンル部門(※前回の名称はオリジナル部門)」と「ネーム部門」の2部門開催となりますが、今回も各部門の審査員長にインタビューを実施!
第一弾となる本記事では、オールジャンル部門の審査員長であるcomico第1編集部の編集長・たかしろより

オールジャンル部門ではどんな作品を求めているのか?
「テーマなし」の意図とは?

といった、入賞のヒントをたくさんもらいました。
本漫画賞に応募予定の方は必読です♪

▼2023年のインタビュー記事はこちら


絶賛募集中!

2023年開催の振り返り

――まずは前回の「comicoタテカラー®漫画賞2023」についての所感を教えてください。

たかしろ この「タテカラー漫画賞」は、2022年、2023年と2年行ってきましたが、WEBTOONに対して意欲的な作品が徐々に増えてきており、大変嬉しく思います。
ただ、前回は「溺愛」というテーマを設けての開催だったのですが、やりたいことは伝わってくるものの、審査側からするとテーマの深堀りが足りず、惜しい作品が多かったです。キャラを立てるため、物語を面白くするために「溺れるほどの愛」を自分ならではの解釈で描いてもらいたかったのですが、突き詰めきれず尖ったポイントが無い作品が多いように思いました。

オールジャンル部門を「テーマなし」にした理由

――今回のオールジャンル部門はテーマを設けていないですが、その意図とは?

たかしろ 2023年の振り返りを踏まえ、今回はテーマに縛られず、作家さんが自由な発想で作る作品を見せてもらいたいと思いました。
今、comico編集部で作っているWEBTOON作品は、ロマンスファンタジーや不倫ドラマなどのジャンルが多いのですが、今後業界全体を盛り上げていくには、いろいろな作家さんの作品が幅広くヒットする環境を作っていかないといけません。よって今回は原点に立ち返り、テーマを設けないことにしました。

――より広く、作家さんの可能性を見出したいということですね。

たかしろ はい! 実際、2022年の「comicoタテカラー®漫画賞」のグランプリ受賞作品は男性向けアクションファンタジーだったので、そういった作品も出てきてほしいなと思います。

――これまでcomicoでは、作家さんの個性が光るオリジナル作品も多く作られてきましたが、ヒットしている作品の特徴としてどういう点が挙げられるでしょうか?

たかしろ ヒット作の定義というのは非常に難しく、一概には言えないのですが、一つ挙げるなら「作家が描きたいもの」と「読者が読みたいもの」がうまくハマった作品、でしょうか。編集者は、作家さんが持っている個性や世界観をできるだけ活かしつつ、それが独りよがりにならずに多くの読者に楽しんでもらうにはどうすればいいかを、作家さんと打ち合わせしながら考えています。言うは易しで、これを実現するのはなかなか難しいのですが、だからこそうまくハマった時は本当に嬉しいです。

――どんなジャンルのものでも、読者を意識することが重要なのですね。

たかしろ そうですね。これまで自分が担当してきた作家さんで「読者のことは全く考えずに作りました」という方は一人もいません。これは読者に媚びろということではなく、読み手がいて初めて作品が成り立つということを忘れないでね、ということです。その意識があるかどうかが、プロとアマチュアの差だと思います。

学生、主婦、社会人…それぞれの立場の経験を武器にする

――「テーマなし」だと、年齢も経歴も様々な方々からの応募が期待できる一方で、何を描くか悩んでしまう応募者もいそうですね。作品のネタを探すためのアドバイスはありますか?

たかしろ まず前提として、すべての応募者に伝えたいのが「あなたの得意を見せてください!」ということ。WEBTOONで売れ線のジャンルやテーマに無理やり寄せる必要はありません。漫画賞は「私にはこれが描ける、描きたいんだ」ということをプレゼンする場だと思って、自分が得意とするものを原稿にぶつけてほしいです。
また、学生と社会人では経験値に差があるので、あえてその差についてアドバイスするのであれば……学生などの若い方は、これまでの人生で印象に残っている「感情を揺さぶられた出来事」をキャラクターに投影してみるといいと思います。
恋をした、フラれた、親とケンカした、試合に勝った……経験から得た「嬉しい、悔しい、悲しい」などの感情をストーリーやキャラクターに落とし込むことができたら、それはもうあなただけの作品です。
人生経験が少ないからこそ、一つ一つの出来事に対する感情の振れ幅は大人よりも強烈で鮮明だと思います。それは、大人には二度と取り戻せない、でっかいアドバンテージです。

――確かに、大人になると一つ一つの感情の起伏が小さくなってしまいますね。いいような寂しいような……(涙)。

たかしろ そうなんですよね……(つられて涙)。大人は経験が増えていくにつれて、どうしても感情はだんだん凪いでいくものですが、それでも長い人生の中で、いまだに心にモヤモヤと引っかかっている出来事はありませんか? それを漫画に昇華してみてはいかがでしょう。
具体的には「あの時、こうすれば良かった」と思うことをキャラクターにやらせてみたり、自分がやりたくてできなかったことを叶えるストーリーにしたりする、などです。
少年漫画を大人が夢中になって読むのは、昔抱いた憧れや興奮など「かつての自分の気持ち」を思い出させてくれるからだと思います。

――ほかにも社会人や主婦の方へのアドバイスはありますか?

たかしろ 社会人や主婦など、ある程度の年齢を重ねて人生経験が増えてきた人は、これまでに数え切れないほどの「他者」と出会ってきたと思います。ならば、「他者」からキャラを、「他者と関わった思い出」からストーリーを考えてみてもいいと思います。
例えば、職場にいた「全然仕事ができないのになぜか上司に好かれているヤツ」とか。就職、結婚、出産……など、ライフステージが大きく変わる節目には、だいたい一人くらいはひとクセある人間がいるものです。漫画はフィクションですから、そんな人たちを大げさにデフォルメすれば、面白いキャラが生まれるんじゃないでしょうか。

――確かに! 自分だけでなく、周りの人のステージも変わってきますしね。

たかしろ まさに、自分だけではなく、友達や家族が結婚したり、出産したり、離婚したり、転勤したり、家を買ったり……大人になると色々な話が飛び込んでくるので、それらをキャラクターやストーリーに落としこみ、それに対して自分がどう感じたかをテーマにすれば、短い読切1本は描けると思います。
いろいろ言いましたが、どんな応募者もまずは「今、これが描きたいんだ!」というパッションを原稿にぶつけてくださいね! しっかり受け止めて審査します。

今回も「読切」とした理由

――前回に続き、「オールジャンル部門」は読切作品が条件となっていますね。その理由は?

たかしろ 前回のインタビューとかぶりますが、商業作家としてやっていく上で必要な「自分のキャラやストーリーをどこまで考え抜けるか」を見たいからです。
作品を作るにあたって、冒頭から考えてもラストシーンから考えても構わないのですが、いずれにしても一つの作品としてまとめ上げる力が商業作家には必要です。この力量を測るために、1話完結でもいいので読切を作ることを条件としました。

――そのほかの条件は「縦スクロール形式、フルカラー、1話あたり45コマ以上」と、前回と同様ですね。

たかしろ はい。詳しくは「comicoタテカラー®漫画賞2024」の応募要項を確認してもらえればと思います。また、前回のインタビューでも「読切を作る上でのコツやポイント」を話していますので、ぜひご一読ください!

「デビュー確約」とその後の流れ

――これまでと大きく違うところは、オールジャンル部門・ネーム部門ともに「グランプリ受賞者はデビュー確約」という点ですね。なぜ「確約」としたのでしょうか?

たかしろ まず「comicoタテカラー®漫画賞」は、2022年の初回開催時から一貫して「各賞必ず1名以上選出」を謳っています。他の漫画賞によくある「該当なし」はありません。最低でも1名を選んでデビューに向けて動くことを確約するわけですから、審査側の選定の責任は一層重くなります。
毎回「この漫画賞からヒット作家を生みたい」という思いで行ってきたのですが、今回はその考えを応募者により伝えるために「デビュー確約」としました。「編集部も覚悟をもって臨むから、お互い本気でやろう!」という意気込みです。

――漫画家を目指す人のための漫画賞ということで、覚悟をもってやっているわけですね。では受賞した場合、デビューに向けてどんなことをしていくのでしょうか?

たかしろ 上位賞を受賞したら、まずは担当編集がつきます。その上で、最初は短めの話を作るのか、長期連載用の企画を練るのか、分業からスタートしてみるのかなど、デビューの形や時期を模索していきます。「オールジャンル部門」で受賞してネーム作家や線画作家としてデビューすることも、逆に「ネーム部門」で受賞してオリジナル作品でデビューすることも可能です。作家と編集、どちらか一方の希望で進めることはなく、お互いの考えをすり合わせてから進めるのでご安心ください。
これはあくまで私のやり方なのですが、作家さんとの最初の打ち合わせでは、企画の話よりも先に「今後どういう漫画家になりたいか」「漫画家として成したいことは何か」「一人で描いていきたいのか、分業も興味あるのか」など、漫画家としてのキャリアプランを訊くところから始めます。「なんで漫画家になりたいのか、どうありたいか」を担当として知っておくと、その後企画作りなどで迷走した時に、一緒に原点に立ち返りやすいからです。

――具体的にイメージが湧いてきました!

たかしろ これまでと同様、審査は編集部メンバー全員で行うのですが、編集者ごとに見出すポイントが違うので、いろいろなテーマの作品を拝見できるといいなと思っています。
〆切まであと3ヶ月ちょっと、キャラやストーリーをしっかり考え抜いてください。あなたの力作を待っています!

Q&Aコーナー

漫画賞でよく聞かれる応募者からの質問に、一問一答!

Q. WEBTOON初心者なのですが、構成がうまくいきません。どうしたらいいですか?

A. 自分が読みやすいと思ったWEBTOONの「コマ」と「フキダシ」を、原稿サイズや配置そのままで、まるっと模写してみましょう。
初めてWEBTOONに挑戦する方や、元々見開き漫画を描いていた方は、余白をうまく使えていないことが多いです。WEBTOONの余白は、時間経過、感情表現、読みやすさなど、重要な役割を担っています。とりあえず1話だけでも模写してみると、「間」の感覚が掴めるのでおすすめです。余白を恐れるなかれ、です。

Q. comicoは女性読者が多いイメージです。やはり女性向けのテーマを選んだほうが有利ですか?

A. いいえ。女性向けか男性向けかで審査が偏ることはありません。
確かにcomicoは現在、女性読者が70%ほどで女性が多いアプリです。ですが、上述のインタビューでもお答えしている通り、WEBTOON業界を盛り上げるためには「ジャンルの幅を広げること」が大事だと考えていて、そのためにも作家さんのポテンシャルを見極め見出すことが本漫画賞の目的だと考えています。
ですから、男性向けはもちろん、アクション、ラブコメ、ホラー、BL、GL、ファンタジーなど、おもしろければどんなジャンルやテーマでも受賞のチャンスありです。

Q. 冒頭の勢いあるシーンは思いつくのですが、結末やラストシーンを考えるのが苦手です。何か良い方法はありますか?

A. あなたがこれまでに観てきた映画、アニメ、漫画などで、ラストが納得できないと感じたり、「自分ならこうするのに」と思ったりした作品はありませんか? その「自分ならこうする」と思ったアイデアからラストシーンを組み立て、オリジナルの展開を考えてみるというのはどうでしょう。

Q. タイトルをつけるのが苦手です。コツはありますか?

A. 本屋さんでもアプリでも、読者が最初に目にするのが「タイトル」と「表紙(サムネイル)」です。数多ある作品の中から、「なんだかおもしろそうだな」と手に取ってもらう(クリックしてもらう)ために、この2つは絶対に手を抜いてはいけません。
タイトルを考えるのが苦手なら、その前準備として、実際に本屋さんに行って漫画・小説・ビジネス書問わずタイトルを観察したり、街に溢れている広告を観察したりして、「このフレーズ上手いな、好きだな」と、自分に刺さったものを収集してみてください。
ここで重要なのが、いつも通りただ漫然と「見る」のではなく「観察する」ことです。広告などのキャッチコピーは、通りすがりに目に入ったコンマ数秒で消費者の心を掴むために、一文字、一句読点、すべてこだわり抜かれています。収集したものたちを見て「なんで上手いと思ったのか、好きだと思ったのか」を自分なりに分析して、それを自分の作品で表現するにはどういう言葉や言い回しがいいのかを考えてみてはいかがでしょうか。
余談ですが、広告のコピーライターなどの思考のプロセスは、タイトルだけではなく創作にも役立つことが多いです。興味のある方は、著名なコピーライターが書いている思考法の本やWEB記事などを読んでみてください。
ちなみに、最近のロマンスファンタジーはライトノベルのように長いタイトルが多いですが、私自身は特に長いことが悪いとは思いません。むしろ、世の中に溢れているライバル作品たちの中から読者に見つけてもらうには、タイトルで内容を表現するのも一つの作戦です。短いタイトルは覚えやすいですが、抽象的すぎるとジャンルすらわからないということもあります。それが意図的ならばもちろんOKですが、「考えなしに適当に決めるのはNG!」ということを念頭に置いて、応募ギリギリまで悩みまくってください。

そのほかのQ&Aはコチラ▼


以上、ここまで読んでいただきありがとうございました!
comicoタテカラー®漫画賞2024」の〆切は2024年11月30日(土)
たくさんのご応募、お待ちしております♪