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画力は不問!? 漫画賞が求めるWEBTOONネームの作り方

現在絶賛募集中の「comicoタテカラーⓇ漫画賞2023」。
※募集は終了しました

先日は、募集部門の一つであるオリジナル作品部門に焦点を当て「読切の作り方」の記事を公開しましたが、今回は新設された「ネーム部門」についてご紹介します。なんとこのネーム部門、漫画賞なのに「画力不問」と書いてあるのですが……どういうことなのでしょう?
本部門の審査員長・もちやまに話を聞きました。

ネーム部門を作った理由は?
画力不問と書いてあるけど本当?
WEBTOONならではのネームを作るポイントは?

など、今回も入賞のヒントだけでなく、漫画家志望の方にも役立つ情報満載です!

▽「読切の作り方」についての記事はこちら



〆切まであと1か月となりました!

新しく「ネーム部門」を作った理由

――新しく「ネーム部門」を作った理由は?

もちやま comicoでは、4年ほど前からWEBTOONの作り方の一つとして「分業制」を取り入れています。この数年で分業制のヒット作も生まれ、ノウハウが溜まってきているので、今後も力を入れていきたいと思っています。まずは、その中でも重要なポジションである「ネーム作家」を発掘しよう! ということで、新たにネーム部門を作りました。
そもそもWEBTOONにおける分業制とは、ストーリーを作る人、ネームを描く人、線画を描く人、色を塗る人……といったように、各工程で作家を分けて一つの作品を作る体制のことを言います。
日本の漫画は、企画を立てるところから作画までを作家一人で行うのが主流だったのですが、分業制だとその人の得意な分野を活かして作ることができるので、一人で作品を完成させることが難しかった方でも挑戦しやすい漫画の作り方なんです。

――ネームが「重要なポジション」というのは、どういうことでしょうか?

もちやま ネームというのは、テキストで書かれている原作やシナリオを漫画の形に描き起こす作業であり、いわば漫画の「骨組み」の役割を果たしています。建物を作るときに骨組みがないと始まらないように、漫画でもネームがないと、その後の線画や着色ができません。

――なるほど、ネームの段階で漫画としての構成を固める、つまりそこで読みやすさも決まる……ということでしょうか?

もちやま はい、その通りです。ちなみにcoimcoのネームには2パターンあって、一つはWEBTOON用に作ったシナリオを元に作るパターン、もう一つは原作の小説を元に作るパターンがあるのですが、どちらも原作の文字全てをネームにしてしまうと必要以上のコマを描くことになり、間延びしてしまいます。ネームを作るときに大切なのは「どう見せたらおもしろく読めるか」「このシーンは漫画にする上で必要なのか」を読み取る力。つまり「構成力」がネーム作家には必要になってくるんです。

「画力不問」は本当なのか?

――ネーム作家に構成力が大事なのはわかりました。では、応募要項に「画力不問」と書いてあるのは本当でしょうか?

もちやま 本当です。繰り返しますが、ネーム作家に必要なのは画力ではなく「構成力」です。絵に自信がない方でも、話の演出が得意な方は気軽に応募してみてください。ネームの経験がない方も大歓迎です!

――「絵に自信がなくてもOK」とはいえ、どこまでが許容範囲なのでしょう?

もちやま 極論、丸で描いた顔に十字を入れた簡易的な絵でも、そのキャラがどういう表情で何をしているかがわかればOKです。表情を描くのが苦手な方の場合は、「切なそうにヒロインを見つめている」みたいな感じで、絵の隣に文字で書き込みしてもらえれば大丈夫。他のシーンでも、「絵ではうまく描けないけど伝えたいこと」があれば書き込みしてOKです! 大事なのはあなたのネームを託す線画作家さんに「誰が何をどうしているか」という意図がしっかり伝わることです。

comicoタテカラーⓇ漫画賞2023の解説漫画より抜粋

WEBTOONのネームの作り方

――具体的にWEBTOONのネームを作るポイントは?

もちやま いろいろあるのですが、①読みやすさ ②メリハリ ③テンポ感、まずはこの3つを押さえることがポイントです。
まず「①読みやすさ」ですが、WEBTOONの特徴はタテ読みなので、上から下に視線誘導ができているコマ割りにすることが重要です。横並びのコマがあると、どちらを先に読んでいいかわからなくてスムーズに読めず、読み手にストレスがかかってしまいます。コマ割りについてはnoteの記事も参考にしてみてくださいね。
次に「②メリハリ」ですが、初めてWEBTOONのネームを作るときにやりがちなのが「同じ大きさの縦長のコマが続いてしまう」こと。同じようなコマが続くと、見せ場が目立たなくなってしまうので、強調したいシーン以外のコマは控えめにするといいですね。
最後に「③テンポ感」。小説やシナリオでは地の文の情報量が多いですが、それらを全てネームにしてしまうと間延びしてしまい、スクロールする手を止めてしまいます。WEBTOONはサクサク読めることが大切なので、絵で表現できる部分は1コマにぎゅっと凝縮すること。キャラクターが何をしているかが物語において一番重要なので、そこに辿り着くまでに邪魔をしないことを意識してみてくださいね。
また、今回のネーム部門とは別の話ですが、WEBTOONは全体のテンポ感も早めなので、1話ごとの展開の早さを工夫するといいと思います。

―― お題のシナリオは「溺愛」をテーマに作られていますが、ネームを作るときに意識してほしい所はありますか?

もちやま ヒーローとヒロインの「ロマンス感」たっぷりにネームにすることを意識してほしいです。応募者の方は同じシナリオを元に作るわけですが、「このお話はどこが一番盛り上がるのか」は人それぞれ。正解はないので、自分が一番「きゅん」を見せたいシーンを強調してほしいです。
具体的には、溺愛感が感じられるよう仕草を細かく見せたり、1シーンに数コマ使って時間の流れをゆったり見せたり。必要に応じて「ここはこういう風に見せたい」と文字で補足していただいてもOKです。女性向けを意識した世界観のネームをお待ちしています!

ネームの作成力をつける方法


――お題もあって画力不問となると、初めてネームを作る方も挑戦しやすいですね。ネームの力をつけるには何をしたらいいでしょうか?

もちやま まずは表現の引き出しを増やすことが大事です。とにかくWEBTOON作品をたくさん読んでみてください。なぜこのヒーローはかっこ良く見えるのか? なぜこんなにドキドキする展開になっているのか? それらはネームの力が関係していることが多いです。「この漫画はきゅんとする!」と感じたら、ネームを作る目線で自分なりに研究してみてください。

――ありがとうございました。改めてまとめると、ネーム部門は画力不問、読みやすさや見せ場を工夫した構成力が大事、お題シナリオの「溺愛」が感じられるよう、ヒーローとヒロインのロマンスを意識してほしい、ということですね。

もちやま その通りです。熱量や想いは原稿から伝わってくるので、審査メンバーをきゅんきゅんさせる溺愛感たっぷりのネームをお待ちしています!
改めて言いますが、ネーム部門は画力不問、経験不問です。漫画の分業制はまだ開拓されたばかりの分野なので、「分業のプロ」が少ない状態です。自分がプロのネーム作家の第一世代になる! という気持ちで応募してみてくださいね。


以上、ここまで読んでいただきありがとうございました!
「comicoタテカラーⓇ漫画賞2023」の〆切は2024年1月15日(月)。
※募集は終了しました

ネーム部門の応募は、応募サイトの「応募部門」からお題のシナリオをダウンロードして作ってくださいね。一緒に応募に必要な素材(作品表紙や話の表紙など)も入っているので、ネームが完成すればすぐ応募できますよ!

ここからダウンロードできます!

あなたならではの溺愛作品、お待ちしております♪