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虚を疲れた。

誤字ではない。
疲れたのである。
いやまさしく疲れたというのが正しい。
なにが、と問われたら、それは金に、と私は言った。
知っての通りの浪費家ゆえ、常に貯金がないのだが、ここしばらく悩んでいたものがあった。
緊急小口資金貸付である。
20万である。
大金ではないか。
しかし借金は作りたくない。
ローンを組んだこともそれほどないのにこんな大金…
しかし大金である!しかも無利子ときた!
借りてもいない20万のことを考えると実に胸が膨らんだ。
カメラも新調しよう、旅にも出たい、好きな芸術家に彫刻を作ってもらいたい、スピーカーも一新しよう、部屋だって片付けよう、ロードバイクを改造して好き勝手乗り回そう。
そんなありもしない妄想が次々と鎌首をもたげて襲いかかってきたのだった。
借りてすらいないのに。
おりしも仲間内で旅の話が出たのもつい2週間前であった。
大学のときの後輩が、そろそろボーナスもいい感じの額をもらえるようになったから、男三匹珍道中をしようというのだ。
乗らないわけがなかった。
夏の瀬戸内海、夜になったら浜辺でギャッギャウブブと愚痴バナに花を咲かせ、結婚したいけど、まだいいかななんてことを語らうのだ。
楽しくないはずがないだろう。
だがそれとて金子があったらの話。
刹那を生きる我々にはそんな金など残されてはいない。
働けど働けど 猶わがクレカ楽にならざり ぢっと明細を見る
まさに虚を疲れるとはこのこと。

以上をもってnoteはじめの文としたい。


うひゃ


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