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ほぼ漫画業界コラム73 【WEBTOONプロデューサー】

最近、色んなWEBTOONスタジオのプロデューサーと会ったり飲んだりしていますが、勢いがあって良いですね。みなさん僕より一回り以上若くて、エネルギー量が凄くて競合他社でも、つい応援したくなっちゃいます。会話も出版社の漫画編集者とは随分違います。例えば、出版畑の人はヒット作の基準を累計◯◯万部突破とかで判断しますよね? もちろん僕も出版畑出身なので、頭の中で部数計算をしてヒットかどうか見ていますが、若い彼らは違います。円!円ですよ!いくら売り上げたとか、いくら入金があったとか!分かりやすくて良いなぁと思います。ちなみにうちの会社で部数を気にしているのはもはや僕だけです。

そもそも部数っておかしいんですよ。紙の発行部数なら良いんです。でも今は電子の売り上げも入っていますよね? あの計算の仕方って総売上÷紙の単行本の定価で計算しています。例えば、1億円の売り上げがある作品の紙の単行本の定価が500円だったら20万部、1000円だったら10万部。でもおかしな話ですよね。売上の大部分は既に電子に移行しているわけだから、待てば無料の売上なんかもありますし、半額フェアとか。もはや部数って数字はファンタジーです。そろそろこれを見直さないと景品表示法にひっかかるんじゃないですかね?

WEBTOONのプロデューサーたちはシナリオも演出も、びっくりするくらい勉強しています。だから、良い意味で作家さんと対等なパートナーを築けていると思います。漫画編集者ももちろん努力している方はいますが、プロデューサーたちは1本1本にかかるお金が違いますし、チームの監視があるのでサボれない。成長速度が違う気がします。あと、コスト意識もあります。これが大きい。漫画編集者でこれが分かっているのは編集長もしくは、それに近い仕事をした人だけじゃないですか。ほとんどの人が分かっていません。僕も編集長になるまでは、全く分かっていませんでした。

自分が作品を作る時にどれだけのコストがかかっていて、収益がどれぐらい必要か。これ、今後は必要な能力だと思います。なので、出版社の漫画編集者の方も作れる方は挑戦した方が良いと思いますよWEBTOON。確かにWEBTOONって製作費が漫画よりかかりますが、でも、よく考えたら(考えなくても)ゲームやアニメや映画に比べたら全然低コストで作れるチーム制作のエンタメなんですよ。なので、低コストでチーム制作の経験が積めるわけです。特に若い編集者こそ挑戦した方がいい。現状、出版社でWEBTOONを作りたいって人が40代以上ばかり。むしろ20代、30代の人がやるべきなんですよ。

そういう人が増えると、日本に大量のプロデューサーが誕生することになります。そして、AI革命が起きた現在、大切なのはプロデューサーの人たちなんですよ。AIに置き換えられない能力ですから。彼らがガンガンヒット作を出して外貨を稼ぐしか、高齢化する日本が助かる道はないと思います。

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