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ほぼ漫画業界コラム154【『TSUYOSHI』の話でもしようか】

骨折した足が治ってきた! 室内ではもうギプスもシーネも無しで歩けるんですよね! 外に行く時はまだ怖いので、スポーツギプスみたいなやつを付けて歩いてますけど。4月4日にポキッといったのだけど、17日間でここまで回復したのすごくないですか? 46歳の回復力からしたら中々だと思うんですけどね。まあ、強いね。俺最強! ってことで今日は『TSUYOSHI〜誰も勝てないアイツには〜』について書こうと思います。多分、1作品についてコラムで書くのは初めてだと思うのですが、現在第一部が終わり第二部のシナリオを書き始めているので書いてみようかなと。

ちなみに第一部はこんな内容です。
- 実は最強のコンビニ店員ツヨシは様々な刺客に狙われる日々。
- 中国武術省からの刺客をボコボコにし、世界から注目されるツヨシ。
- ツヨシは自身の管理権を求める中国とロシアの抗争に巻き込まれる。
- 中国に勝ったロシアによって拉致されるツヨシ。
- ロシアの理不尽にキレたツヨシはロシアをボコボコにする。
- 日本に帰った途端、なぜかツヨシは上級国民の手で逮捕され勾留される。
- 上級国民の手下になることで釈放されたツヨシはパリピ化する。
- その後日本国内の政争と在日米軍のいざこざに巻き込まれる。
- 理不尽にキレたツヨシは全員ボコボコにする。

第二部準備中  
24巻かけてもこんな感じ。はい、なんて面白そうなマンガなんでしょうか。そんなTSUYOSHIは2018年11月にサイコミ再創刊の目玉としてスタートしました。作者は丸山恭右先生、シナリオは僕、担当編集は現在、弊社コミックルームで編集長をやっている鍵谷亮の3人でワイワイ話しながら作った作品です。

企画の際にベンチマークした作品は『モブサイコ100』と『ケンガンアシュラ』です。直前まで僕はマンガワンの編集長だったのでサイコミを再創刊する際に、マンガワンや裏サンデーの立ち上げ時のデータを参考にしました。裏サンデーやマンガワンを成長させた2作品の要素を持つ作品は、サイコミをマンガワンと同様に成長させるだろうと考えたのです。特に担当だったモブサイコの影響はさらに強いかもしれません。先日ONEさんと食事しました。ONEさんは最新話まで読んでくださってました。ありがたい。

さらに、『刃牙』や『ホーリーランド』『デトロイト・メタル・シティ』とか僕が好きな作品の影響も色濃く出ていますね。あと『ごっつええ感じ』のコントの影響も強いです。様々なよしもと芸人さんがTSUYOSHIを評価してくれたのは、多分自分たちが影響を受けたごっつエッセンスをTSUYOSHIにも感じたからではと思っています。

作品の作り方としては単行本単位ではなく、一話一話の引きを全力で考えて作りました。主人公はあえていい奴ではなく、ごく普通のやつを目指しました。いや、普通より少し怒りっぽい奴です。ツヨシはみんなから憧れられ、尊敬されるヒーローではありません。ムカつくものはムカつくし、理不尽には抗議します。やられたらやり返すし、時には10倍返しします。そういう意味では、既存の漫画の作り方のセオリーは外しております。マンガアプリのビジネスモデル『待てば無料』に対応させて作った作品でした。そういう意味ではTSUYOSHIはWEBTOONに極めて近いタイプの漫画かもしれません。

なのでTSUYOSHIが大きく伸びたのは昨年だったと思います。ピッコマ様とLINEマンガ様で『待てば無料』連載がスタートしたからです。それ以来二つのアプリでツヨシが数多の名作やWEBTOONを抑えてランキングに入っています。

紙の単行本も細かく重版を重ねています。今月22巻が出ます。コミックルーム原作では最長の連載であり、一番売れてる作品となっています。ちなみに累計300万部とか書いているけど、電子換算です。総売上を紙の単行本の価格で割ってるんです。単行本価格は一冊800円だから300万部をかけると24億円ってことになります。稼いでくれました。ありがたい。

ですが映像化の話は、来ては消え、来ては消えの繰り返しです。大国の学生運動描写や、プー○ン投げ飛ばした描写あたりを読んだあたりで各社プロデューサーさんは首を横に振るそうです。ちなみにその後上級国民や在日米軍も容赦なく描写しています。全方位を敵に回していくスタイルです。つまり政治的主義主張は何もないってことなんですけどね。気合が入ったPの方がいたらDM下さい。ちゃんと全話読んでて本気の人とのみ話したいです。

第二部をやるかは実は結構迷って、散々悩みました。丸山先生とサイコミと相談して、長期間の協議の結果、続けることにしました。どこにも忖度せずに、気持ちよく続けようと思います。そんなTSUYOSHIですが、引き続き応援よろしくお願いします。


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