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パームツリーの彼方へ【#2000文字のドラマ】

パームツリーの続く海岸線、
もやもやした気持ちを抱えながら
ひたすら南下していた。

ふと、うとうとした時、
ガタン、バスが大きく揺れたかと思うと
そのまま停車して、
Hey! the  last stop !
と大きな声がした。

ドライバーの声にハッと我に帰った。
そうだ、ここまで来たんだ。

早紀は、立ち上がり、
thank youとバスを降りようとした。

What’s the matter ? 
ドライバーが聞いてきた。
え?窓に映る自分の顔を見ると
なんとも情けない顔・・
ほおには乾いた涙の跡。

It's going to be okay. 
陽気なドライバーの声に、
少しだけ口角を上げ、
I'm not down thank you
今度こそバスを降りる。

ここまで来てしまった。
いい事なのか、そうじゃないのか?
間違っているのか、そうじゃないのか?
私はどうしたらいい?

相変わらずの自問自答に、また顔が曇る。

バスから降りて、今度は歩く。
パームツリーが夕陽に染まっていく。

しばらく歩くと、
洋服を売る店や雑貨を売る店、
そして、バーが何件か集まる場所へ着いた。

中から陽気な音楽とおしゃべりの声、
ビールをオーダーして、腰掛ける。
水平線の向こうに落ちていく大きな夕陽を
ただただ見つめる。


「SAKI?」
振り返ると、目をまん丸にしたカレがいた。
「LIAM!」
立ち上がって、JUMP、カレに飛びついた。

I miss you so much
I really wanna see you
会いたかったんだよ。
ただそれだけ。

me too
リアンのひまわりの様な笑顔が輝いた。


あの日、本当にどうでもいい事で、
言い争いをした。
そして、サヨナラなんて言ってしまった。

リアンは私のために言ってくれたのに。
リアンはいつも私をbig smileにしてくれたのに。

誰も知らないここに来て、
不安でいっぱいだった私を
Californiaのお日様みたいに照らしてくれたリアン
まだ子どもで、わがままばかりの私を
いつも大きく包み込んでくれたリアン

会いたかったの。
そばにいたかったの。

その時、耳元に聞こえてきた日本語。
アイシテル

時が止まる。
初めてリアンの口から聞いた日本語のアイシテル。

そして、店中に響き渡る様な声で、
アイシテル!サキ!
I love you Saki !

Yeah〜〜 !!
Wow!!
店中が大騒ぎになる。

リアンの友人がコロナを2本持ってやってきた。
おめでとう!
乾杯しようぜ。
コロナは、おごりさ。
リアン、相当凹んでたんだぜ、
サキに振られた、つって。
あんなリアン見たことないよ。

英語で早口で言われると、
詳細は違うかもしれないが、
だいたいそんな事を言われた。

Cheers!
Cheers!
Cheers!

店中の祝福と笑顔をもらい、幸せに包まれた。

夕陽は、すっかり水平線の向こうに落ちてしまい、月明かりに変わっている。
海を照らす優しいあかりだ。
ビーチをリアンと並んで歩く。

アリガトウ
アイシテル
大切な人

日本語で言ってみる。
リアンの笑顔が月に照らされる。


アイシテル、サキ。


おはようございます。      
【書くンジャーズ】木曜日の女       
よーこさんです。   

今週の書くンジャーズのお題は、  
【#2000文字のドラマ】です。

今日は、初めてフィックションを書いてみました。




#2000文字のドラマ #フィックション #ショートショート #パームツリー #カリフォルニア










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