みぎ、ひだり
電車から降り、改札を抜ける。ポケットからスマートフォンを取り出して、Suicaのアプリで自動改札機を通る時に気づいたことがある。
自分は、左ポケットに携帯電話を入れている。
考えてみると、昔からポケットに入れるものは左右を決めていた。ハンカチはみぎ、ティッシュはひだり。自転車の鍵はみぎ、携帯電話はひだり。
気づいたのは、改札の右手側にsuicaをタッチする部分がついていたから。右手でタッチすることが想定されているそれは、左手ユーザーに優しくない。
改札を通るたびに、ポッケから取り出した左手を斜めに伸ばしタッチする。何度も繰り返すうちにその動きは滑らかになっていく。
みぎ、みぎ、ひだり。ひだり、ひだり、みぎ。
右利きだから左手のことを余り考えてこないこれまでだった。
でも、骨折したら左手でお箸を使える様になった。
ウインクは左目をつぶらないとできない。
歩みを進める右足をそっと支えているのは左足だ。
気がつくきっかけはなんでもいい。
けれど、不器用ながらも自分の生活を支えてくれている自分のひだりに気づいたその時は、自分に優しくなれる瞬間だ。
素直に書きます。出会った人やものが、自分の人生からどう見えるのかを記録しています。