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僕、ロマンチック好きだから。

男子校に通っていた僕は、車窓から見てた車に憧れていたのは当然の話。妄想が妄想を駆り立てる。車の助手席には好きな娘だ。勿論、当時彼女なんて居ない。田舎の男子高校生に彼女なんて居ない。1人として居ない。

助手席の彼女は、当然妄想の彼女。僕らは何度もデートして、色んな場所に出掛けた。何度もケンカして、何度も仲直りした。色んな話をしたし、沢山の無言も共有した。いや、妄想でね。

時は颯爽と過ぎ、僕は車に乗るようになった。勿論、自分の車だ。助手席には、妄想じゃなくて現実の彼女が座っている。車と彼女を手に入れた僕は、気付くのよ。
「不便さと妄想こそ、ロマンチックだな」って。

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