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【キョウシュウジャー企画】レンジャーとわたし ~グリーンの場合~

こんばんは、お久しぶりです。コメディアスの池田です。

『仮免戦隊キョウシュウジャー』第2話公開後、第3話公開までしばらく時間が空いてしまいました。楽しみにしてくださっていた皆様ごめんなさい。戦隊ヒーローの免許取得も、なかなか難しい道のりのようです。

さて、この「レンジャーとわたし」シリーズも三回目。今回はインテリ枠のグリーンを演じる、小山允久の思い出です。

今のところ二回連続ギンガマンが話題となっていますが、今回はどうなんでしょうか。

ぜひお楽しみください。


ちなみにキョウシュウジャーってどんなお話しだったっけなーと思った方は、もう一度第1話からどうぞ。

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1.戦隊ヒーローとの関わり(グリーン・小山)

私の中で最も古い戦隊モノの記憶は病院にまつわるものだろう。私は幼いころから身体が強くなくよく入院を繰り返す、そんな子供時代を過ごしていた。
しかし入院とは狭い子どもの世界を離れ非日常へと誘う一つの扉でもあった。そして私が病院という白く明るい鬱屈とした閉鎖空間の中で見つけた光は、どこにでもあるような付属の売店であった。普段親に連れられて行くスーパーでは見ないような品ぞろえに、幼き心は大きく躍動していたのだ。

今でも鮮明に覚えている、物珍しいものが並ぶ宝石箱のような陳列棚の中にひと際輝く100カラットのダイヤモンド、それは「爆走戦隊カーレンジャー」のペガサスサンダーだった。カーレンジャーの放送時期は1996年、対して私の生まれは1994年の3月。見ているはずもなかった、知っているはずもなかった。しかしその真紅に染まった流線美を追求したフォルムとパッケージ左隅に描かれている、小さくも見るだけで活力を湧かせるレッドレーサーの雄姿は入院というネガティブな日常に一縷の希望を授けてくれたのだ。
一目見ただけで流れ込んできた”あるはずもない”記憶。私はやたら静電気を発生させるブラウン管の前で何年にも渡って彼らを観測し続け、時に笑い時に涙したのだと、このペガサスサンダーによって虚数の記憶が作られたのだ。「私はペガサスサンダーを買うために病院に来ている」とまで考えるようになった。人間の脳内で起こるハックの一つ、CauseとResultの逆転による自身の行動の正当化だ。

恐らくあの売店は実際に「子どもの退院祝いに戦隊モノのおもちゃを買ってあげる両親」を想像して置いたのだろう。だとすればペガサスサンダーが置いてある時点で致命的なミスと言わざるを得ない。
どんなに甘く逆算しても私が入院時それに出会ったのは1999年以降だと思う。なぜかというとおたふく風邪で入院していた時、すなわち6歳前後だと覚えているからだ。嘆くことかな、時価26億円に相当すると私には見えたペガサスサンダーは売れ残りもしくはマーケティングをしっかり行わなかった売店側の怠慢が結露したものだったのだ。
私の両親はどちらかというとケチな方であり、それは一年間に一本のゲームしか買え与えないほどであった。すなわち私がどんなにペガサスサンダーに惹かれていても終ぞそれに手が届くことはかったのだ。手に入らないペガサスサンダーの真紅のボディによだれを垂らしつつ、代わりと言っては難がありすぎるジョアのヨーグルト味を買ってもらい我慢していたのだ。
その後も日曜朝に起きるのが苦手だったこともあり、私の戦隊モノの思い出は病院で飲んでいたジョアのヨーグルト味から更新されることはなかった。

2.キョウシュウジャーを演じて

戦隊モノへの無知に反して、演じるにあたって目立ってさしたる問題もなかった。それは戦隊モノ自体の構造のわかりやすさのおかげだろう。基本の5色(ないしは3色)が揃っていてみんなでロボットに乗り込んでいれば”戦隊モノ”になるのだ。グリーンを演じるんじゃないかな~というのも企画段階で薄々感じていた。

日本人のレンジャーに対する印象は非常に根深い。レッドは熱血系リーダー、ブルーはクールなサブリーダー、グリーンは三枚目な頭脳派。同じ特撮だと仮面ライダーの方がよく見ているのだが、「仮面ライダーって何?」と問われたときうまく答えられなくても、「戦隊モノって何?」と聞かれたら答えられるのだ


しかしこのキョウシュウジャー、ロボットを動かしているというよりはUFOキャッチャーを動かしている感覚に近かった。お届けしている作品にはそういうまごつきは抑えられているのだが、作って試行錯誤している間はZOOMの遅延も相まって「Octodadでもやってんのかな?」みたいな操作性だった。グリーンというキャラクターの演じやすさに助けられた面は多々ある、ありがとうキョウシュウグリーン。


そんな構造に助けられた「仮免戦隊キョウシュウジャー」、最後まで絶対見てくれよな!という雑な締めくくりで終わりにさせていただく。コロナ禍にも負けじと演劇作品を作る我々の雄姿をぜひご覧いただきたい。

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