見出し画像

【感想】ひかりふる路

『ひかりふる路(みち) 〜革命家、マクシミリアン・ロベスピエール〜』
作・演出/生田 大和


もう数えきれない程に何度も見返している大好きな作品のひとつです。
望海風斗さんが、退団を発表されてからはしばらく直面化ができなくて視聴回数が落ちていたのですが、久しぶりに見直して(個人比)やはり名作だなと思いました。

自由というのは自分の人生に責任を持つこと
これは劇中のセリフなのですが、いい言葉だなと思うのです。
さて、いつもながらネタバレがありますので御容赦ください。




歌唱力が軒並み外れて高い主演二人の作品らしく、歌唱で心情を語る場面がふんだんにあり、また、鳥肌が休まることが無いほどに名曲ばかり。
好きなナンバーは多いですが、葛藤と焦燥を聴くと、ビシバシと感情が刺激されて涙がとめどなく溢れます。

信念や情熱を持って革命を成し遂げようと思っていた。しかしながら、革命の象徴として担がれ理想していたことが自分の思いから離れていく、心が壊れていく…こんな大きな話ではないけれども、近しいことは、生きていく中で経験する事があり理解できる部分があるからこそ胸が痛いし涙が溢れるんだなと思います。

主演のロベスピエールは、望海風斗さん
素晴らしい歌唱だけではなくお顔も佇まいも美しくて、繊細な役作り。
表現力が高い方なので、表情がふんだんで特に苦悩し決意する表情が堪らない。
求心力、清廉実直なロベスピエールを人間性溢れるキャラクターとして魅力的に演じておられました。
ロベスピエールが壊れゆくなかで、恐怖政治に身を投じ覚醒した場面は神々しさすらあったな。
ロングヘアの鬘や、黒いベロア地ロングジャケットなどのビジュアルも最高に好きです。

ダントンを演じる彩風咲奈さんは立ち居が美しい。友人でありながら敵対したり、飄々と浅はかさを演じる(というように感じる)人物を好演してる。ロベスピエールとの歌の掛け合いがいい。話し合いの決裂後の哀愁に涙が止まらない。
足が長すぎて椅子の高さが子供用に見えちゃうのが凄い笑

マリーアンヌは、創作の人物であるのだけれど実際に歴史上生きている人物だと思うしっかりとした存在感。
作品を重ねて熟練していく最近の真彩希帆さんとは少し違って、それでも物凄く素晴らしい歌唱であるのだけれど、あの、絶唱シーンはきっと当時の真彩さんだからこその表現になるのよね…好きです。(いつもながら語彙がない)

サンジュストは、狂っていく倒錯した演技が上手すぎる朝美絢さん
宝石のような美しいビジュアルに目が行きがちだけれども、役に憑依したような役作りが特に好きだなと思う。処刑完遂した後の恍惚な表情が狂気そのもの。
癖が強い役が本当に上手い。

マノン・ロラン夫人を演じた彩凪翔さんは、美しかった。男役が演じる女性はどこかに男役を感じることもあるのだけれども、持ち前の美貌で高貴で高慢な完璧な女性。その色気に見てる側も逆上せ上がるようでした。
男役の彩凪翔さんも大好きですが、女役も非常に良くて色んな役を見たいなと思わせます。

夏美ようさんの黒幕の説得力溢れる存在感や、沙央くらまさんは役によって全然違うキャラクターになる演技力が好きです。デムーランは可愛かったな。

ストーリーは、救われるものではなくて、演技力が素晴らしいので引き込まれすぎて息切れしてしまうけれど、きっと私には、これからも何年も見続ける大切な作品だと改めて思いました。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?