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#008_甲虫おじさん

子どもはもう大きくなったが、イクメンという言葉があるなら自分もまだそう呼ばれるべきではないか。

かぶとむしを育ててもう20年になる。
知り合いから幼虫をもらったのがきっかけだが、こんなにも楽しいとはおもっていなかった。

オスだろうか、メスだろうか。体は大きく育つか。
幼虫のときからそんなことを考えている。

育てばネットで売りに出すが、ビジネスのつもりでやっているわけではない。
売値も相場より安いし、かけている手間と時間を考えればそもそも割に合わないものだ。

会社で話したときに同僚から気味が悪いと言われた経験があり、最近ではあまり自ら話すことはない。
しかし、恥ずかしい趣味だとはおもっていない。

仕事ではなにをやってもどこかに気に食わない人がいる。
趣味くらい認めてくれる人たちのあいだで楽しんでいたいだけなのだ。

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