ヴィレッタパーク

ヴィレッタパークと書かれた看板を過ぎ、階段を下りていく。地面には落ち葉がたくさんあり、周りにある邸宅を横目に公園の下へ向かう。公園の中心に行くとそこにはベンチが一つ。座っている二人のアメリカ人らしき女の子。大きな木が一本ベンチの後ろに立っている。他には何もない。しばらくそこら辺を歩き、二人の女の子が立ち去るのを待つ。二人は特に何もしゃべらない。ただ何か遠くの街を見つめて、物思いに耽っている。5分、10分した頃だろうか。ゆっくりと腰を上げて、決心したように公園の外へ歩いていく。ざくざくと音を立てる。先ほど二人が座っていたベンチに座ってみる。ベンチにはカートコバーンを弔うたくさんのメッセージ。日本語も書いてある。それは一人ひとりの人生に刻まれた忘れられないメロディーへの敬意と感謝が綴られていた。メッセージのアートと言っても良い。風がそよそよと吹く。さっきの二人と同じように僕も遠くを見つめる。身体のどこかに鳴り響いているメロディーを思い出す。過去を思い出す。未来を目指す。僕たちには今がある。ベンチから立ち上がり、どこかすがすがしい気持ちで公園を後にした。

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