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2_「暗転」という黒の価値

【STRANGER THAN PARADISE:1984(アメリカ)】
巨匠ヴィム・ヴェンダース監督から「ショートフィルムでも」という感じで、35mmフィルム300秒分を譲り受けた若き日のジム・ジャームッシュ監督。
ただし撮影機材が使えるのは2日間のみ、制作費は8,000ドル。
ごく限られたフィルム、ごく限られた時間&制作費だったようです。
しかし、完成した本編は30分。
どうやって5分→30分にできたのでしょうか。
まず5分のフィルムを4倍速で。
当然画像は粗くなりますが、これで20分。
そしてこの映画の大きな特徴は『ブラック・アウト(黒味つなぎ)』という「暗転」の部分が多いことです。
倍速で粗くなった画面に加え、シーンの間毎に入ってくる「黒」は観客を何となく突き放すような距離感を生み、想像力を刺激する効果に繋がっています。
そう、あとの10分はシーンの展開毎に「暗転」のような「黒」を差し入れてフィルムを「水増し」したのです。
そしてこの映画は不利な状況をうまく『逆手』にとってフレッシュな価値を生み出し、大ヒットしました。
ちなみにこの映画、音楽もとてもカッコいいです。
どんな感じか興味ある方は映画の雰囲気を↓(2分ほど)
https://www.youtube.com/watch?v=2sB64lure2E


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