24_色彩構成の授業やってます(5)〜色と言葉のリンク:神戸編

画像1 前回、デザイン専門学校1年生の基礎造形科目「色彩構成」で「京都」のイメージをテーマにした課題を紹介しました。「大阪」「京都」、今回は「神戸」です。前回同様、トーナルカラーという学習用色紙を使って16マスの正方形で神戸のイメージを色彩で表現する課題です。この課題でのポイントは「色とイメージワードとのリンク」であり、16マスという限られた画面で「色のみでイメージを伝える」ことです。そして今回も学生の作品をほんの少しリメイクして講評しました。
画像2 1つめ。「南京町や異人館、色とりどりだけど派手派手しくなく、どこか落ち着きがある。」という学生のコンセプトで左が学生作品。確かに色とりどりでカラフルに表現できています。適度な派手さは残しつつ、落ち着きも感じます。右は私がリメイクしました。使っている色は種類も分量も全く同じですが、左下の薄紫と右上の紺色の重さが気になったので「分散」しました。同じ色なのに画面がよりカラフルに感じるのがお分かりでしょうか。
画像3 2つめ。学生コンセプト「港町の開放的な雰囲気と明るさ、爽やかさに華やかさをプラスしました。」左が学生作品。海をイメージしてかブルーが画面の大部分を占めています。ただ、開放感というには明暗コントラストの強い市松模様が堅い感じがします。右がリメイク。使っている色の種類は全く変更していないのですが、濃いブルーとライトブルーの位置を変換しました。ライトブルーが増えたのと、左上と右下部分の明度コントラストを緩めることで「抜け」を作りました。それによってリラックスしたような「開放感」がより出たのではないかと思います。
画像4 3つめ。学生コンセプトは「カモメが羽ばたく海と晴れ渡った空、縦のラインを強調することで高揚感を出し、周りに異国情緒をイメージしたカラフルさを散りばめた。」カラッとした晴天を感じる爽やかな作品です。右がリメイク。この課題は「無彩色を1種類のみ使うことができる」と設定しています。そこで「白」をプラスしました。顕れた縦長の白で目線が上から下に流れやすく、つまり縦のラインが強調されます。カモメの白、晴天の日の眩しさ、さらに無彩色の白を入れることで「カラフルさ」を際立たせました。
画像5 色彩構成の課題をしていると「色彩難しいです」という学生の嘆きをよく耳にします(笑)。色彩には「人の思い」や「好き嫌い」が投影されやすく、つい客観的な目を失って「自己顕示欲」が出てしまいます。ある意味正解がないのです。そう、楽しそうでいて一筋縄ではいかないのです(笑)。浅い段階で「色なんてこんなもの」と思わないだけ優秀です。次回は「奈良」のイメージです。お楽しみに♪

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