25_色彩構成の授業やってます(6)〜色と言葉のリンク:奈良編

画像1 ここ何回かデザイン専門学校1年生の基礎造形科目「色彩構成」で学生たちが取り組んでいる課題を紹介しています。前回同様、トーナルカラーという学習用色紙を使って16マスの正方形で都市のイメージを色彩表現する課題ですが「大阪」「京都」「神戸」と続いて今回は「奈良」です。この課題でのポイントは「色とイメージワードとのリンク」であり、16マスという限られた画面で「色のみでイメージを伝える」ことです。講評の際に学生の作品をほんの少しリメイクするのですが、今回もその一部をご覧ください。
画像2 一つめ。学生コンセプトは「奈良で見かけるような木造の寺や大仏など、歴史を感じる重厚感を暗いトーンや渋いトーンを使って表現した」とあります。イメージ通りの色をうまく選んでいると思いますが、重厚感というには少し動きを感じるような形です。右がリメイクしてみた画面ですが、使っている色と分量は全く変更していません。色の配置を変えることで水平と垂直のラインを強調し、重厚感に静穏さを加えました。
画像3 二つめは奈良に住む学生の作品。「奈良には”みたらい渓谷”など美しい川があり、透明感のある水の色を斜めに入れ、古都の鹿や建造物を表した色の間にくすんだ空色を配置しました」という地元愛を感じるコンセプトです。右がリメイクしたものですが、これも色と分量は変更せずに配置を変えました。左下と右上の暗色を中央に配してコントラストをつけることで画面の印象が強くなります。それによって作者がこだわった「水の表現」も際立って見えるのではないでしょうか。(どうでしょうか:笑)
画像4 三つめ。「古今和歌集の中の菅家によって詠まれた一首からインスピレーションを受け、手向山神社に広がる紅葉をイメージした。紫色は高貴な人に限られた高尚な色であり、奈良が都として咲かせていた時代の雅やかさを表現した」という作者の思いを感じるコンセプトですね。右がリメイクしたものです。基本的に「シャッフル」で、コンセプトにある「紫」を目立つ位置に配し、画面の華やかさを際立たせるために一コマ黒を+しました。それによって画面が締まり、強くなった感じがしませんか?
画像5 奈良も京都同様「古都」なのですが、また違った古都のイメージがあります。学生たちもそれを表現するために随分あれやこれやと言葉を探して考え込んでいました。色と言葉のリンク、決して観念的にならず素直に考えたことを表現できればいいなと思います。講評のために「作品のリメイク」という形を取っていますが、決して学生の作品を否定しているわけではなく、あくまでも「こんな感じだとどうかな」という提案です。また課題作品を紹介したいと思いますので、よろしくお付き合いお願い申し上げます。

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