9_配色調和論と色の駆け引き

画像1 「色」自体は光の屈折や反射、透過、吸収などで生じるさまざまな物理現象です。 そんな「色」は組み合わせることでさまざまな表情を見せ、それがいわゆる「色彩」になります。
画像2 フェルメールは光の表現が絶妙なのですが、「フェルメールブルー」と呼ばれる青色の美しさが際立ち、人々の心を掴んでいます。 フェルメールの代表作『真珠の耳飾りの少女』も、少女の頭に巻かれている鮮やかなブルーのターバンが目を引きます。
画像3 全く違う特性のものは、互いの特徴を強調し合います。このターバンは黄系との2色使いになっていると思われますが、黄系の衣装と共にターバンの青色を際立てます。 黄色と青色は、補色もしくはそれに近い対照的な色みを持つ組み合わせであり、それによって美しいブルーはより美しく引き立ちます。
画像4 では黄色とも青色とも対照的なポジションにある赤紫色をプラスするとどうでしょうか。 画面がさらに華やかになったことがおわかりかと思います。
画像5 これは「トライアド(均等に差がある3色配色」であり、調和するといわれる配色技法の一つです。 右の方が華やかで、何となく「色が揃っている」というか、完全な感じがします。 しかし、オリジナルの色使いである左の方は、一色足りないような感じもありますが、シンプルにブルーが引き立てられ、ある種の「余韻」のようなものが残る気がします。
画像6 色のかけひき。 セオリー通りに色を組み合わせることは、ある程度学習することによって身につきます。 しかし、「魅力ある色彩」にするには、意識・無意識かかわらずに「色のかけひき」が必要不可欠です。 センスの分かれ目があるとすれば、それができるかどうかではないでしょうか。

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