いつかのセブンイレブン
ずっと忘れられないセブンイレブンがある。
関西に住んでいた頃の話。
そのセブンイレブンは、一歩足を踏み入れるとまるで縁日みたいに賑やかで活気にあふれていた。
「今日はおでんが美味しいですよ」「今◯◯フェアやってます」
その言葉がけが、全然耳障りではないのだ。
そして、帰るときには「お姉ちゃん今日もお疲れさま!寒くなってきたから身体に気をつけてな」といつも声をかけてくれた。
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ずいぶん距離感の近いコンビニではあったけれど、不快ではなくむしろ元気をもらっていたのは、そこで働いている人たちが何だかすごく楽しそうだったから。
時折店長の方がいない時にお店に行くこともあったのだけれど、お店の雰囲気は変わらず賑やかで温かくて、どんな関わり方をしたらこんなに素敵な職場づくりができるんだろう?と、よく帰り道に歩きながら考えていた。
たくさんあるコンビニの中で、ふと少し遠回りをしても立ち寄っていたのは、唯一無二の温かさがそこにあったから。
その一言は、そのひと工夫は、別になくても良いものなのかもしれないけれど、私の1日の終わりを柔らかく彩ってくれた。
どこにでもあるものが、そこにしかないものになる魔法を、あのセブンイレブンは教えてくれていたんだよなぁ。
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引っ越しをしてからもう8年が経つ。
それでもなお心に残っているのは、きっとあのセブンイレブンの在り方が、「自分を活かして生きる」ことの一つの答えを示してくれていたからなんだと思う。
私は今日、心をこめて働くことができたかな。
そう自分に問う時、夜道にぱあっと光るあのセブンイレブンを思い出すのだ。
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