個人的メモ:災害時における集団心理

台風19号により被害を受けた皆様に、心よりお見舞い申し上げます。
私のところも(細かい話をすると身バレに繋がるので伏せさせていただきますが)色々と大変でした。
自然って本当に怖いですね……。

それはさておき。
Twitter等では色々な情報が飛び交い、一部ではデマだったり真実の誤認とみられるようなケースも多くありました。
通常ならば落ち着いて取り組み、発言出来る方々まで、このようなツイートに踊らされてしまうことも多い。
なぜでしょう。

1,災害時の共感性の高さ

今回のように全国的な被害が発生する災害、とても「他人事」ではありません。
そう、誰にとっても自分に関わる重大事。
なればこそ関心も高く、また思い入れも強い。
被害を受けた人がいれば、同情も多く寄せられる。
こういった「皆の持つ感情」が、広まりやすさの背景にあります。

2,日常の関心事を外れた分野への興味収集

では、なぜ誤った内容がまことしやかに流れてしまうのか。
それは「詳しい分野でなくとも、知識を求めてしまう」ことに由来します。
Twitterで見かけた、少し「なるほど」と思える知識。それを、事実確認なしにRTしてしまう。
このような経験は、誰にでもあると思います。

災害時は、これが特に顕著です。
中には大事な知識、ためになるツイートも多くあります。
でも、少し落ち着いて見ることも、また大事。

3,事実確認の薄さ

災害時の緊張感、焦りの中で「これは大変!」と思った内容があれば、事実確認よりも先に飛びついてしまう。
これもまた、多くある事象です。

誰しも、まことしやかな話には、騙されてしまうもの。
それを言っている相手・流している相手が、信頼のおける人・社会的地位のある人ならばなおさら。
事実確認をせずとも「相手の立場を信じて」内容を鵜呑みにしてしまうことは、あり得ます。

4,集団の危うさ

集団というのは恐ろしいものでして、人が多くいることで「皆が言っているのだから」と流されやすくなる傾向が強く、またそんな集団の中で他者より目立つ、抜きんでるために「より鋭い意見を出す」ことを求める人もいます。
これによって引き起こるのが「集団極性化」という現象です。

ネットで多く見られる、誰かを晒し上げるような行為。
普段はそんなことしそうにない人でも、緊急時にはそのような行為に荷担することがある。
それは「自分がこうと信じるもの」から外れる意見を持つ人を「自身の考え、主張、所属する集団を守るために排除しようとする」一種の集団思考が働くからです。

5,道徳性の幻想

災害は大きな被害を及ぼします。
だからこそ「自分の行いは正しい」と思い、確認がおろそかなままに、情報の流布に荷担してしまいがち。
これも一つの正義感であり、それ自体は賞賛されるべき部分でしょう。
ただし、その正義感を誤った方向に向けてしまわぬよう、落ち着いて取り組んでいただきたい。


緊急時というのは、慎重な意見は流され、時には非難されがちです。
しかし、大変な時だからこそ、慎重に考えて動く必要がある。
自分もそれを忘れないようにしたいと、再認識した次第です。

これらについて、興味のある方には
・ギュスターヴ・ル・ボン著「群集心理」
・釘原直樹著「グループ・ダイナミックス 集団と群衆の心理学」
をオススメします。
前者は原典となる一冊。
後者はそれがわかりやすくまとまっています。

以上、災害時に様々なツイートが飛び交う中で実感した部分の個人的な覚え書きでした。

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