第30巻 北海道
第30巻 「北海道」
舘脇 操著 1963年刊行
千歳空港の建物ができたのが、この本の書かれた1963年ですが、目次を見るとまだ北の果ての未知の国だったようです。幕末に官軍に抵抗した藩の多くの士族が明治になって北海道へ移住したそうですが、厳しい気候風土の中海や山の作業に従事する人々が、進取の気性の富むと言われるのは、「ならぬものはならぬ」の武士の誇りと魂を宿してているからではないでしょうか。
青函連絡船の時代、北海道の玄関口は函館でした。幕末にいち早くコーヒを愛飲する習慣が根付いたのも函館で、キリスト教の修道院や整備された街の夜景も、歌に登場するなどして、知らぬ人はいないほどです。
夏札幌に屋台の出る「焼きとうもろこし」の美味しさに惹かれて何度も訪れる人もいるようですが、最近はとうもろこしやジャガイモを使ったお菓子もとても美味しいものが増えています。
「"さいはて"という言葉は人の心を揺さぶる」演歌などに歌われるのはムード満点のイメージですが、現実には厳しい自然に育まれた迫力ある風景が眼前に広がります。
50年前にはまだ姉様かぶりにモンペ姿、ダウンなどない時代に綿入れの上着を着て、冷たい水を使って、魚の加工をしていたのでしょう。
知床の風景も歌に歌われていますが、著者は「日本の自然美のフィナーレ」と表現している通り、ここにもまた自然のもたらす絶景が広がります。