第31巻 北アルプス
第31巻「北アルプス」
渡辺公平.船越好文著1963年刊行
小さな文庫のなかにたくさんの美しい写真が収められていることが、カラーブックスの一番の魅力ですが、この「北アルプス」の山岳写真の美しさは、登山が今ほど気軽ではなかった時代に、山の姿の厳しさや美しさを誰もが知ることができ、山岳関係では第一人者の渡辺公平先生の文章も読み応えあります。
この本が書かれた1963年当時、すでに山の俗化や自然破壊が問題となっており、著者は原始の姿に近い姿を求め「北アルプスの姿態を、その四季にとらえ、登山者の姿も点綴させてこの一冊の本をまとめてみた」
「ロッククライミングの歴史もすでに四十年を超えた。はじめは若い溌剌たる学生登山者群によって展開されたこの近代的なアルピニズムの一形式は、急速に一般化されて、ロッククライミングは今や若い登山者の間に広く愛されるスポーツと化しつつある」
裏銀座は北アルプスの中央を縦断する道程は長いが変化に富んでいて楽しいコース。「雪田、高山湖、お花畑の交錯する魅力の連続で、山小屋も完備、女性の姿が近年特に増えている」
映画でも有名ない剣岳は、その昔は信仰の対象で、修験者以外は近づくこともできない山でした。その堂々とした威容と厳しさ故に、現在ではアルピニストの冒険心と憧れを誘う魅力的な山として知られています。