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二人の研究者(仮)#2 プロローグ#2

人は技術革新により、様々な事が出来るようになった。
出来ないことといえば、時間を操作することくらいだ。
もしそれすら出来るようになったら?
未来を、過去を、変えることができてしまう。学校の歴史の授業が意味を成さなくなり、競馬や宝くじは商売あがったりだ。
今ですら未来を信じ努力をする人間なんて一握りしかいないのに、そんな者など居なくなってしまう。努力なんて馬鹿らしくなってしまうからだ。
自分たちの望む未来に書き換え過去の汚点を消し去るためにたった一本の時間の流れを取り合い、争いが起きるだろう。そのほうが馬鹿らしく思える。


そんな事を実現してしまう研究者は悪か?


ある意味そうかもしれない。
研究者は人の堕落のために働いているといっても過言ではない。彼らは滅亡を望んでいるのではないかとすら思える。いや、存続だとか繁栄だとか、ましてや滅亡だとかは彼らにとっては実に些末なことだ。

彼らが気にしているのは、万物の真理、理論であり、いうなれば己の正しさである。その良し悪し、革新性や話題性など問題にしないのである。
ただ、時には成果や評価を気にする俗物的な者もいる。彼らも人間なのだから。


そしてここにも二人、研究者がいる。
彼らの専門は時空間工学と呼ばれる、少々マニアックな分野だ。程度の違いこそあれ研究者はマニアックであることに変わりはないが。
彼らは非常に優秀で、いくつもの成果を出している。
ただ、どちらかというと、俗物的な人間かもしれない。


そしてまた今日も、研究者は人知れずヒトを堕落させ、滅亡へまた一歩前進させる。自らも落ちていると気付かずに。


#story #novel #二人の研究者

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