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妖怪より怖い「虚無の暗黒」と向き合う

 ドーモ、こんにちは。蠱毒大佐です。
 自己紹介にnoteのリンクを貼ってる割に全く活用していない……とは常々考えていたので、何か気軽に書いていきたいなあ、と筆を執ってみたのですが。
 さっそく書き始めた話題は妖怪とは関係ない、しかも妖怪より怖くて生々しいものとなってしまった。それでもまあ、私の活動と完全に無関係ではないので、話半分に読んでください。

個人VTuberが直面する「虚無の暗黒」の恐怖

まず、この話を書く切っ掛けになった記事を紹介するので、こちらを読んでから次に進もう。

 この記事には、VTuber活動をされている方々が行き着いてしまう「引退」と、その要因について記している。
 これを読んだ私がまず真っ先に思い出したのが、本記事のタイトルにもある「虚無の暗黒」という恐怖存在。『ニンジャスレイヤー』の翻訳など、様々な作品を手掛ける「ダイハードテイルズ」が以前記した、この世全ての発信者・表現者が直面する最大の壁である。

 このアーカイブには、現在こそ数多くの読者・フォロワーを擁する『ニンジャスレイヤー』という一大コンテンツが、公開当初はどれほどこの「虚無の暗黒」に苛まれたか、そして「虚無の暗黒」とどのように対峙したかが克明に記されている。「虚無の暗黒」とはつまり、発信者・表現者が自らのコンテンツへの「無反応」によって虚無感や無力感に飲み込まれてしまう現象を指すのだ。
 ダイハードテイルズのアーカイブは「Twitterに小説を投稿すること」についての記録だが、この「虚無の暗黒」は我々VTuberにとっても恐るべき敵対者として眼前に現れる。
 可能性に溢れた仮想世界、そこで華々しく活躍するVTuberに憧れ、自らもバーチャル肉体を得てVTuberとしてデビューしたが、チャンネル登録者数もTwitterフォロワー数も増えない。動画を投稿しても視聴数が増えない。配信をしてもリスナーが増えない。段々と「自分はこの世界の誰からも必要とされてないのでは?」という妄想に囚われ、仮想世界というメキシコ荒野に疲弊し、痩せこけた野良犬めいて打ちのめされ、何者になることもできず老い、倒れ、そして死ぬ。
……というのは流石に書きすぎ(逆噴射構文に影響されすぎ)だが、つまり自らの活動に対する「無反応」という声なき声に苦悩する事例が、個人VTuberを中心に多発している。その結果が前述したような「引退」「活動休止」となってしまうのだ。
 人は誰しも、自らの行動に何らかのリアクションや返答を欲する。それが己が自覚的に世に出すコンテンツなら尚更である。動画を投稿してコメントが付かない、そもそも再生数が数える程度では虚無感に囚われるのは当然だろう。生配信を始めてもリスナーが全く来なければ、一人で何のレスポンスもなく喋り続けられる人間はそういないだろう。多くの人は、壁の汚れを弟に見立て、延々と壁当てキャッチボールを繰り返すような強靭メンタルを持ち合わせてはいないのだ。

「虚無の暗黒」と程々に付き合う

 ではどうするのか。VTuberは、表現者はどうやって「虚無の暗黒」の魔の手に抗うのか。それについては……私が語ることではない。なぜならその対策への道筋は、前述したリンク記事で既に語られているし、何より私自身がVTuber界隈でも「無反応」に直面することの多い零細VTuberだからである。対策があるならまず私に教えてほしい。
 しかしそれにしては、私はVTuberとして活動していて「虚無の暗黒」に苛まれた記憶はそれほど多くない。それは私の活動を見守ってくれているリスナーやフォロワー、私に構ってくれるVの界隈の友人のお陰が何よりあるのだが、それに加えて私は「私の活動はそういうものだ」と割り切っている所があるように思う。
 私は「妖怪蒐集系VTuber」と名乗っている通り、VTuberとしての活動も妖怪というコンテンツを利用している事が圧倒的に多い。今のVの界隈で主流とされる「歌動画」や「ゲーム実況配信」に代表される、タレント・アイドル的活動とは、ほぼ無縁な所にいるのが現状である(ゲーム配信はたまに手を出している)。主流から外れた傍流、中心ではない末端に属している私は、そもそもVの界隈に活動や存在そのものを認識されていない節がある。
 そして私の側でも、未だ発展途上・開拓領域であるVの界隈は「自らの存在を世界へと示すための檜舞台」というより「自分の好きな事を発信するのに面白そうな場所」という意識が強い。愛好者の絶対数が少ない妖怪というコンテンツを共有・発信できる新しい活動場所という認識なので、自分自身がバズらなくてもそれほど気にならないのである。
 端的に言うと、私の活動には気負いがない。自分のやりたい事をやりたいようにやっている。「妖怪の面白い情報を共有したい、もっと妖怪の面白さを広めたい」という欲求はあれど、VTuberという表現形態はそのための「目新しい手段」である、という一種ドライな認識があるので、私の活動は他者から見れば「真面目にVTuber活動をしていない」「本気で活動していないのだからバズらなくて当然」という意見も出てくるだろう。それについては首肯せざるを得ないのが辛い所ではあるのだが……。
 そういう訳なので、今のところ私は「虚無の暗黒」にそれほど悩まされていない。奴が不意に現れ、神経を逆撫でしていく事はたまにあるが、それでも活動そのものや自我存在について懊悩するほどではないという、一定の距離を保った関係を維持できている。この点は自己を顧みても良好な状態だと分析しているので、できる限りこの距離感を続けていきたいな。

私はやりたいように活動する

 色々と長く書き散らしたが、要するに何が言いたいかというと「私は今の所自分の活動にそこまで悩んではいないので、これからもよろしく」ということである。世間で言うところの「人気VTuber」のような活動頻度・活動品質をお届けすることはできないかもしれないが、少なくとも「妖怪」という自身の愛好するコンテンツについては妥協しない方針なので、視聴者諸君・フォロワー諸君もそのように考えていてほしい。勿論、自分がやりたい時にゲーム配信やコラボ配信もやっていくので、そういう時にもお付き合い頂ければ、非常に有り難いものである。
 毒にも薬にもならない独白だったが、ここまで読んで頂き、感謝します。
 それでは皆様、オタッシャデー!

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