最近の記事

ガジェットとしてのカラー写真

2024年になってみたふたつの作品で、カラー写真が重要なガジェット(小道具)になっていた。 ひとつは湊かなえの小説「人間標本」 もうひとつは映画「四月になれば彼女は」 ネタバレを避けるために詳細はひかえるが、どちらの作品でもフィルムカメラで撮影して、自分で現像しプリントする描写がある。 それがどちらもカラー写真を自分で暗室で現像・プリントする描写になっており、白黒写真ではなくカラー写真であることに意味や効果をもたせている。 ところが実際のカラー写真の現像やプリントの作業

    • 文豪の道具:夏目漱石のオノト万年筆・谷崎潤一郎の筆ペン

      書籍のみならず各種文房具も扱う明治創業の老舗「丸善」(現・丸善雄松堂)で語られる逸話のひとつに、 「夏目漱石が愛用した万年筆「オノト」を日本に輸入したのは丸善である」 というのがある。 オノト万年筆を製造していたデ・ラ・ルー社はすでに無いが、現在では丸善が当時の雰囲気を再現した万年筆を販売している。 私はこの逸話を知った時、あの夏目漱石が愛用していた万年筆の書き心地とはどんなものだろう?と生来の道具趣味がくすぐられて、ネットオークションで古いオノト万年筆を入手してみた。 が

      • 二眼レフカメラの構え方

        アニメ「SPY×FAMILY」を観ていて、あるシーンが気になりました。 第2話でロイド、ヨル、アーニャの3人がかりそめの家族となり、写真館で写真を撮るというシーンです。 画面右奥で三脚に据え付けられたカメラを構える写真館のカメラマンをみて、 「二眼レフはこんなふうに目線の高さで構えない」と思いました。 ここで描かれているカメラは、二眼レフと呼ばれる縦に二つのレンズが並んでいるカメラのようにみえます。 実際、二眼レフカメラは腰の高さ(ウェストレベル)に構えて、上から覗き込

        • フェルメールはカメラ・オブスクラを使ったか?

           日本でも大人気の画家フェルメール(Johannes Vermeer 1632?~1635?)が、現代の写真用カメラの原型であるカメラ・オブスクラ(camera obscura)を使っていたか?という疑問はずっと昔からある。  この疑問に関する国際的な認識は外国語不如意な私には分かりかねるが、日本での認識は大きく二つに分かれる。  写真史・写真芸術系の書籍では「フェルメールはカメラ・オブスクラを使ったに違いない」という見方が多く、逆に西洋美術史・絵画史系ではほとんどこの疑問に

        ガジェットとしてのカラー写真

          実現してほしいデジカメ

          私が美大を卒業した2000年ごろはフィルムからデジタルへの移行期のまだ初期で、出版業界ではレイアウトなどはPCでやっていたけど、写真はプロカメラマンでもみんなフィルムカメラだった。そのころのPhotoshopは1ライセンス10数万円していたし、サブスクリプションとかもなかった。 デジカメは「いずれデジカメの時代になるだろう」という予感はあったが、一眼レフの倍くらいの大きさで数百万画素、それでいて価格は100万円という、とても個人で買える代物ではなかった。 そんな頃から私に

          実現してほしいデジカメ

          ALS ICH KAN

          AΔΓ IⅩH ⅩAN ALS ICH KAN 我に能う限り

          ALS ICH KAN