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上杉あき 『夢と日常』 (静岡県三島市)

絵はうそがつけるからいい。雨の日に青空の写真は撮れないけれど、雨の日に青空を描くことならできる。そっけない窓辺に花を飾ることもできる。あの時食べたトーストの味をいつだって思い出すためにつく嘘ならどんな嘘を筆に乗せてもいい。夜の街にキリンがいたっていいし、行ったことない世界に旅することだってできる。夢みたいな光景がたくさんあったっていい。遠くの景色を描くために空を飛んだっていい。葛飾北斎だって空も飛べるはず。

ある日、神奈川県の真鶴という小さな港町に移住した友人から手紙が届く。

上杉あきさんという素敵なイラストレーターさんと知り合いました。きっと加藤さんも好きかなと思います。

手紙に添えられた URL を開いて見てみると確かにぼくが好きな絵。東京のイラスト学校で勉強中とのことで、作品の点数は少なくまだ洗練されているとは言えないけれどひとつひとつの絵に『愛』を感じる不思議な温度の作品。夢と日常のあいだを眠たそうに、ぼんやりでも時々はっきりと行き来している絵の中の主人公たち。ずっと前に見た夢を時々思い出したりするときのデジャヴ感。

そんなやりとりがあったばかりだったから上杉さんから COLLECTIVE のエントリーがあった時にはうれしかった。そして ZINE のタイトルは『夢と日常』。彼女の作品から感じたイメージがそのままタイトルになっている。

ホックニーを感じさせる夏っぽい空の青の描写がとくに気持ちのいい表紙。この作品を見た時に今回の『天井から ZINE を吊るす』という着想を得た。窓から入り込む風に揺られる ZINE を想像した。

このレビューを書いてる今も、彼女の夢と日常を描いた ZINE はゆらゆらと PARK GALLERY の宙に浮かんで揺れている。窓辺に飾っておきたい1冊。

彼女がオススメする静岡の魅力の1つに「三島スカイウォーク」がある。山奥にかかる日本一長い吊り橋。まるで空中を散歩してるかのような気分になれる。一度、ドライブしている時にたまたま通りかかって、こんな山の中に日本一の吊り橋があるなんて知らなかったぼくは、その突如現れた橋を見て、なんだか夢のワンシーンに迷い込んでしまったかのような気がした。夢の中の景色みたいな橋だなと思った記憶がある。

ー Written by 加藤 淳也(PARK GALLERY)

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エントリー静岡

上杉あき / AKI UESUGI

イラストレーター

たくさんの方に自分のイラストレーションを見てほしいと思い、ZINE を制作しました。普段アートやイラストレーションに関わっていない人でも、ZINE を手にとったことで「あ、これ良いな。」と感じるような、何となく心にひっかかりを持つきっかけになれば嬉しいです。ー 上杉あき



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