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COLLECTIVE 〜一都六県『関東』エリア〜

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47都道府県の ZINE を公募し展示販売するエキシビジョン COLLECTIVE。一都六県『関東』エリアから参加してくださった方たちの ZINE の紹介ならびに、様々な活動の紹… もっと読む
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2018年9月の記事一覧

ヤグチリコ 『アサクサジン』 (東京都台東区)

とにかく本とお酒、それと音楽が好きな彼女が指定する待ち合わせ場所は、いつだってお酒が飲めるお店で、遅刻癖のあるぼくに罪悪感を感じさせないよう本を読んで待っている。メールで「遅れる」というと、「もっと遅れて」と返ってくる。 その日は浅草。指定された待ち合わせ場所は昭和の風情漂う喫茶店。指を挟んだ吉行淳之介の文庫本(エッセイ)をそっとポーチにしまいながら、「冷房が効きすぎのくせに瓶ビールはぬるい」と小さな声で文句を言った。その後、今日1日のデートの内容が明かされる。仲見世通りを

星野佑奈 『in a water.』 (東京都杉並区)

一冊の本に綴じられたとき、そこには「一つに綴じられるだけの何かがあった」と感じる。それはコンセプトと呼ばれたりテーマと呼ばれたりして、「私」と「あなた」の接点がない場合には特にそれは重要な意味を持つ。 「私」と「あなた」の間にはなにひとつ共通言語がないから、互いの共通言語となりえるポジションを設定することは大事になるんだと思う。ZINE の場合もそれは同じはずだが、比較的その共通言語が未成熟なものが多く、それが許されているともいえる。 そういうものと触れ合うと、「わかんな