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日記

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屋根裏の日常です
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2018年8月の記事一覧

少しパリから離れて考えてみたこと

ベルギーの国境にほど近い町に滞在していた。 パリ市内は家賃も物価も上がって年々住みにくくなるが、パリから電車で1時間ほど離れると、だいぶ住みやすくなる。 古い家つき400平米の敷地が2,000万円くらいで買えたりする。 古い家は自分で直す必要があるし、フランスでは家を買う時にひとを挟まないといけないのでその手数料等もかかるから2,000万円では済まないのだけれど、石造りの広い庭つきの一軒家がその値段で買えるのは魅力的。 しかも、日本と違ってフランスは家の値段が下がらない。

空を飛んできた手紙

あることで知り合った女の子が、手紙を書きたいから住所を教えてほしいと言ってくれた。 もしかしたら今日あたりに届くんじゃないかな、とポストを覗いたら、やっぱりそこにひっそりと手紙があった。 どきどきしながら封を開けて、文字を追いながら胸がいっぱいになる。 初めての手紙だから、なんだか日記のようでもあり、ぎこちない自己紹介のようでもある。 そして、彼女の焦燥感や迷いが伝わってくる。 まだ焦らなくていいんじゃない、ってつい言いたくなるけれど、わたしはそういうことは言いたくない。

ナナカマド

大量にトマトソースを煮込み、友人を家に呼んで、長いこと話をした。 夕方、友人が帰ってから近くの公園で散歩をする。 わたしはこの公園が大好きで、気持ちがくさくさするとここに来てふらりと一周したり、芝生に寝転んで本を読んだり、お気に入りの木の幹に手を当ててみたりする。 もともと石切場だったこの場所は、100年前に土を入れ、苗木を植えられて、今はちょっとしたマンションよりも高い木をたずさえる立派な公園になっている。 夕陽に照らされてひときわ輝く木があって、あの木の近くに行って

手作りジャム、あたたかいスープ

友人が「これ、Hさんから」と手作りのジャムをことりとテーブルに置いた。 心密かに縁を切ろうとしているひとからもらったのだということを私は知っている。 手のひらにちょうど入るサイズの瓶のブルーベリーのジャム。 陽に透かすと端っこの紫が指に染みるよう。 腐れ縁とはいえ長い関係だ。きっと心は複雑だろう。 わたしは、ひとと仲違いすることはむしろ少ないほうだが、一度赦さないとなったらもう心は梃子でも動かない。 けれど友人は、もう少し中間の部分にとどまろうとする。 人間関係において、た