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つくるためのこと

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つくるということに関して大事だなと思って書いた記事をまとめています。それから、見に行った展示や舞台の感想もここに。
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記事一覧

ピナ・バウシュの命日に

30日はピナ・バウシュの命日だったので各所に追悼の記事やビデオが載っていた。 フランス語の勉強がてら、記事を読んだりインタビューを聴いたりする。 (リンク先でたくさんの作品のダイジェストが見られます。ニュースの映像だからほんのさわりだけれど)

たいせつなものはそんなに多くない、だから全力で守る

最近、がっかりしたり、怒ってしまったりすることが多いと友人に話したら「それはあなたが信念をしっかり持っているからじゃないかな」と言ってくれた。 「私はそこまで考えていないから適当に流すことができるし、そういうものかあ、色んな人がいるなあと思って終わってしまう」と。 もちろん、自分なりに信じていることはあるけれど、どちらかといえばこれは性格によるものだと思う。 私は結構執念深いし、ひとを許さないところがあって、そしてこれも自分ではあまり良いことではないという自覚はあるのだけれ

自意識、美意識

もっとすらすらと文章が書けたら良いのだけれど。 毎日欠かさずブログを書いていた時の私は、いったいどうやって文章を書いていたのかな。 もちろん当時から読まれることは意識していたけれど、今のようには悩まずに、きっとなんとなくは伝わっているだろう、という確信を持って書いていたような気がする。 たくさんの方の文章を取り扱うプロジェクトを始めてから、私は全然文章が書けなくなった。

生活すること/つくること

自分の状況を説明しても、そんなに簡単には理解してもらえないだろうということは分かっていた。 でも、手を動かして、時間を費やして、あまりお金にはならないけれど大事だと思っていることに心血を注いでいるひとになら少しは汲み取ってもらえるんじゃないかと思って話してみたんだけど、やっぱり全然あさっての方向から答えが返ってきた。 こういうことに、もう過剰にがっかりしたり、厭世的になったりすまい、と思っているんだけど、やっぱりがくっと来る。 横に経済を勉強している学生がいて、芸術家は大変

仕事を依頼するときは最初にお金の条件を言って欲しい、という話:後日談

以前書いた『仕事を依頼するときは最初にお金の条件を言って欲しい、という話』の後日談です。 急に持ちかけられた衣装レンタル代 あれからAさんはB先生に仕事のお給料を訊いてみたそう。 仕事は早朝から地方に出かける1日がかりのものだったのだが、B先生がAさんに渡すのは80€だけ、ということだった。 80€ならいいじゃない?と思うかも知れないが、通常、遠出の演奏の仕事というのは1日200€ほどもらえるのが普通である。(そのために事前に何日かリハーサルをしなければならないこともあっ

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うるさいことを言っていくぞ、という日記

この間書いたノートを春日東風さんが取り上げてくださった。 思いがけないことで、とても嬉しかったです。 ありがとうございます。 ここにも書いたことだけれど、誰かの権利を貶めることは他人事じゃなくて、「この社会がなにか生きづらい…」と感じているこのサイクル自体を助長することに繋がり、廻りまわって自分の首をしめることになる。 情けは人のためならずというけれど、おかしいと思うことはきちんと表明してみるといいと思うし、もし「私さえ我慢すれば丸く収まる」と黙りがちなひとは、その行動が

『NINA-物質化する生け贄』 Noism

(※2008年に見たNoismの作品について、そのときのメモ書きを。現在の私のダンスについての考えともまた違っていて面白い。) 友人たちが出演していたので見に行く。 ときどき視界の端がぶれることで、どれだけ5人のダンサーがシンクロしているかがわかる。 アフタートークで穣さんが「本番までにはもっと精度を上げてゆく。精度というのは単純に言えばスピードということです」ということを言っていた。 これ以上にか、とため息をつく。求めるなあ。そりゃあそうなんだけれど、むーとうなった。

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仕事を依頼するときは最初にお金の条件を言って欲しい、という話

(※こちらは全文公開記事です) 人に仕事を頼む時、わたしは事前に必ずお金の話をする。 仕事をするかどうかを決める時に、賃金がいくらかというのは大事な要素だと思うから。 同時に、自分がどうして「あなた」にそのお仕事をお願いしたいのか、どういうスタンスでこのことを話しているのか、ということも示すことができる。 お金の話をせず仕事を頼もうとする人が多い しかし案外、はじめにお金の話をしない人が多い。 「いついつ空いてる?仕事があるんだけど興味があれば」 というメールをしばしば受

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崔在銀 展―アショカの森/原美術館

原美術館が閉館とのことなので、以前(2010年)に行った展示についての覚書をここに。 ・アショカの森 入ってすぐの部屋がうろこのように重なった板で埋められている。 遠くの窓にむかって少しきつめの坂。 入り口から少しだったら入れますよ、と言われて入ってみるとぎしぎし音をたてて、この下には何があるんだろう?と想像する。 アラスカのトウヒのことを思い出す。 もしかしてこの下には古くなった落ち葉がぎっしりつまっているんじゃないかな、って。

SNS疲れは波のように

友人はパリに来て20年ほどになるが、今では年の1/3は自宅にいないほど活躍している。 私はこうして人々に知られるようになってからの彼女しか知らないが、実はこんな風に忙しくなったのはここ数年のことらしく、どうやってフランスで身を立てていったらいいか悩んだ時期も長かったと聞いたことがある。 あまりだらだらと個人的な話をする関係ではないし、しょっちゅう会うような間柄でもないのだけれど、会えばお互いが今現在興味を持っている主題についてを眼の前に広げ、そこから刺激をもらって、帰路につく

森で踊る

日曜日にはフォンテーヌブローの森でパフォーマンスをする。 最近共演したダンサーに誘われたので、森で踊るのは楽しそうだしとOKしたのだが、少しずつ集まってくるパフォーマーの顔ぶれに、そうか、こういう感じか…と心構えが変わってゆく。

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野村万作・萬斎・裕基-杉本博司『ディヴァインダンス-三番叟』を見て

ジャポニズム2018でパリに招聘されている野村万作・萬斎・裕基が演じる三番叟/月見座頭を見にエスパス・ピエール・カルダンへ。 舞台美術や衣装は写真家であり、古物の収集でも名高い杉本博司。

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作品をつくっていてよかったなあ、と思ったこと

パリからほど近い村に行ってきました。 こちらに書いたヨーロッパ世界遺産の日のイベントに参加するためです。 共同で作品を作ったのは、日本人が2人と、フランス人2人、ポーランド人。パリで何回か打ち合わせや作品のすり合わせをして、車で出発、3時間ほどで村に着きました。 村では、屋根瓦を焼くための窯とその近くにある大きな蔵を住むための家に改築した建物があって、そこに滞在しました。 屋根瓦を焼くための型とか、窯の跡があってとてもおもしろかった。 ボーリング場にできそうな広い屋根裏に寝

人と一緒に創作することについて、それからヨーロッパ文化遺産の日イベントに参加します

新しいプロジェクトのメンバーとのリハーサルが始まった。 進める過程の中にストレスのない時間で、これからがとても楽しみ。