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『こっち向いてよ向井くん』(日本)

2023年・日本・テレビドラマ

夏は暑さに負けて面白そうなドラマを調べる気にもなれず、これもなんとなくみ始めたのだけど、目を引く派手さがない分、リラックスしてみられる。
先日見ていて、かなり前に見て大好きだった台湾の恋愛ドラマ『イタズラな恋愛白書 原題:我可能不會愛你(2011年)』をふと思い出した。恋愛からちょっと遠ざかって仕事をバリバリこなす30歳のキャリアウーマンの主人公・程又青をアリエル・リン、彼女がなんでも話せる気の置けない昔からの男友達・李大仁をチェン・ボーリンが演じていた。主人公の性別も違うし、ストーリーが似ているわけでもない。ドラマの全体的な雰囲気が似ているのかな。見ている時の自分の気持ちが似ているのかもしれない。

『向井くん・・・』では、33歳で10年間恋人がおらず、恋をしたいと意気込むがなかなか上手くいいお相手に巡り合えない主人公の向井悟を赤楚衛二、何かと向井の恋の相談に乗り、歯に衣着せぬアドバイスをする向井の飲み友達のサバサバ系キャリアウーマン坂井戸洸稀を波瑠が演じている。この物語の主人公は向井悟だが、彼の恋のお相手の女性達や母親や妹そして飲み物友達の洸稀らを通して女性の生き方、人生の選択、恋愛や結婚に絡む問題や悩みがいろいろ描かれていて面白い。ドラマを見ながら、自分の来し方の恋愛や人生の岐路での選択を思い返すこともある。年齢を重ねるなかで、その時々、自分もこのドラマに出てくるそれぞれの女性たちのようであった気がしたりして。そういえば、『イタズラな恋愛白書』を見ていた時も、主人公の又青や彼女と大仁の関係を見ながら、やはり昔の恋愛や人生の選択をちょっと振り返っていたな・・・。
物語の途中で、向井くんの恋のお相手の視点が挟まれるのも面白い。彼の思いや予想とは違う彼女たちの気持ちも、それなりに頷ける。

ドラマ内で交わされる会話や向井くんのモノローグ、飾らない言葉使いの洸稀の独り言も面白い(6話でも「なっ!何考えてんだ向井の野郎め・・・」とか言いながら、自分のアドバイスを無視して元カノのうちに行ってしまった向井を心配してた。波瑠のあの顔と雰囲気で"野郎め"が笑えた)。赤楚衛二のモノローグに合わせた演技もコミカルで笑える。波瑠も、いつの間にか向井くんの気の置けない相談相手になってなっていたサバサバ系飲み友達役が合っていて、好きな相手の前で恋の駆け引きをするよそ行きな顔と向井くんの前での気取らない言動のギャップが面白い。
向井くんと洸稀の今後も気になる。

欲を言えば、夏ではなく秋か冬に見たかったなぁ。
赤楚衛二独特のとげのない穏やかな可愛さも、ドラマ全体の画面の色合いや柔らかさや毒々しさのない雰囲気も、人生の選択についてちょっと考えたくなるお話の内容も、向井くんと洸稀の自然な会話も、真夏に麦茶飲みながら暑い部屋で見るより、涼しい風吹くころに温かい飲み物をゆっくり飲みながらのんびり見るのに合っていたかなぁなんて思う。

派手なドラマに囲まれて今季のドラマのなかではあまり存在感が出てないのかもしれないけれど、このドラマ結構面白い。
台湾などアジアの他国で放送したら女性たちの間で人気がでるのではないかしら。

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