進路選択支援の進め方【保護者向け】
こんにちは。
学習塾ブランチの西原です。
9月になり、中学3年生は受験に向けて本格的に動き出します。
この時期、受験生としっかり時間をとって話すようにしていることが進路選択です。
自分の進路選択に納得いっていない状態だと、受験が近づくにつれ、気持ちが持たなくなってきます。
なかなか出ない結果に焦り、志望校を変えるか迷い、保護者との関係も悪くなり、勉強に集中できない日々が続き、さらに結果が出ないという悪循環に陥ります。
そうならないために、進路選択に時間を割くことはとても重要なことです。
さらには、その決定に対して保護者も納得している必要があります。
子ども達が一番応援してもらいたいのは、やっぱり両親です。
自分の目標を両親も信じ、応援してくれる。こんな心強いことは無いでしょう。
「子どもに任せてます」という保護者の方もいますが、そこには2パターンあります。
○関心を示さ寄せたうえで任せている保護者と
○関示を示さずに任せているという保護者です。
前者は、子どもにとって一番身近な良き相談相手になっており、
子どもが言う事と保護者から聞く事に、ほとんどズレがありません。
普段からよく話をしているんだなと感じます。
一方、後者は、ほとんど話をしている様子が伺えません。
子どもが言う事と保護者から聞く事が、一致しません。
子どもの今の成績や進路希望もしっかりと把握しておらず、三者面談のあとに慌てて連絡をしてこられることもあります。
私はそんなこと無いとほとんどの方が思われるでしょう。
でも、今一度思い返してみてください。
子どもと進路の話をじっくりと時間をかけてしたことがあっただろうか?
そのために時間を作ると決めて、話をしたことがあるだろうか? と。
今回は私が受験生によく話をする内容を整理してみました。
ご家庭で進路のお話をする際にご参考になれば嬉しいです。
1.興味関心を整理する
進路の話をするときは、大きなところから話を始めます。
私の場合は、将来どんなことしてみたいの?というところから始めます。
美容師になりたい、獣医になりたい、プログラマーになりたいと具体的な職業としての夢を持っている生徒もいれば
海外に住んでみたい、スポーツ関係のことに携わりたいなど、おおまかな方向性だけ持っている生徒もいます。
何かしらの情報が引き出せた場合は、それについて一緒に調べたり、自分が持っている情報を開示してあげます。
夢は持っていても、それを達成する方法は知らないということがほとんどです。その夢へ向かう道はどんな道なのか、一緒に調べ話すことで、生徒自身もよりリアリティを持てるようになります。
そのあと、高校卒業後どういう進路に進むのがいいだろうかというテーマにブレイクダウンしていきます。
将来の夢とかやりたいこととか、まだよく分からないという場合は、
「今決まっている人の方が少ないよ。高校生活の中で見つかるといいね。」と話を先に進めます。
2.高校卒業後の進路について整理する
次に、高校卒業後の進路について聞いていきます。
まずは3択です。
①短大・大学 ②専門学校 ③就職
今の時点で、どれに興味ある?と聞いていきます。
少し話がそれますが、「今の時点で」という言い回しは強調してよく使っています。後から変わっても全然いいんだよ、今あなたがどう思っているかを知りたいということを伝えるためです。
一度言ったら、それ以外の選択はできない、変えてはいけないと思ってしまっている子もいます。そういう子はなかなか自分の思いを口にすることができません。あとで変わるかもしれない、そしたら嘘になってしまうという不安からか話せなくなります。だから「今」ということを強調して話をします。
話を戻します。
①短大・大学 ②専門学校 ③就職 が決まったら、
将来の夢は話せなくても、この3択はほぼ全員の生徒が答えてくれます。
そして、どういう高校が対象になってくるかを示します。本人のレベルに関係なく、まず選択肢をすべて見せます。
その中で興味のある高校を聞き、また一緒に調べていきます。
どこにあるのか、どんな部活があるのか、どんな授業があるのか、どんな制服なのか(女子生徒にとってはとても重要!)、どれぐらいのレベルなのか
情報を提供していくと、あとは本人が自分で考えだします。
うまく考えがまとまらない時は、足りない情報があるということです。
どこで思い悩んでいるのかを聞き、また一緒に調べていきます。その繰り返しです。
以前、野球大好きな生徒がいて、強い野球部があるところに行きたいと、一緒に高校野球の戦績を調べたこともあります。
こういった話を定期的にするようにしています。
なぜなら、新しい情報が入ると、子ども達の考えも更新されるからです。
ずっと変わらない子もいれば、途中で大きく変更する子もいます。
どちらでも良いと思っています。
大事なのは本人の納得感。自分で選んだという感覚を持てているかどうか。それを一番大切にしています。
3.子どもの進路選択における保護者の役割
上記に書いたことは、特別なスキルが必要なものではありません。
私たち大人の役割は、子どもが自分で考えらるように情報を提供すること
これに尽きます。
以前の生徒にこんなことがありました。
もともとは偏差値52ぐらいの公立高校を目指していました。
秋口、私立高校の部活からスポーツ推薦の話が出てきます。
その私立高校は偏差値40以下のところです。(分かりやすいようにあえて偏差値を書きましたが偏差値の高低が重要ではありません。)
本人は高校卒業後、大学進学に興味を持っていました。
ある日を境に、その生徒の表情がくもり、いつもの明るさが感じられなくなりました。
1日だけだったら体調が悪いのかなと思うところですが、数日続いたので気になり本人と話をしました。
すると、先日三者面談があり、スポーツ推薦を受けると答えたとのことです。それ自体、悪い事ではないと思っていますが、どうも歯切れが悪い。
なので、その選択は本当に納得して決めたのか?と問いました。
とても時間がかかりましたが、ぽつぽつと本音を話し出しました。
三者面談の席で、スポーツ推薦がきていることを伝えられ、先生からも親からも「あなたの好きにしなさい」と言われたと。でも何も分からない。その高校に行くと、何が学べるのか。卒業後はどういう道があるのか。大学に行けるのか。そもそも自分の今のレベルと比べてどうなのか。とにかく分からないことだらけで、答えられないのに、答を求められる。その環境から早く逃げ出したくなり、「スポーツ推薦受ける」と答えたと。そして、今も分からない状態のままであると。
やっと、表情が晴れない理由が分かりました。
なので、それから1時間ぐらいかけて(すでに1時間ほどしゃべっている)、その私立高校のことを一緒に調べました。部活や行事、進路実績、どいうところに力を入れている高校かを見ていきました。
高校で部活は続けたいけど、その先までやっていくつもりは今のところはなく、大学に行くことの方が興味も大きいようで、優先順位も変えていきました。
分からなかったところ、一つ一つ調べていくと、やっぱり公立高校の方がいいのではないかという結論に行きつきました。
そこからは早かったです。
その日の夜に両親に相談し、次の日には先生に相談し、
先生と一緒に高校に出向いて推薦の辞退を申し出たそうです。
中学生にとっては、とても大変なことだったと思います。
次の週に会った時、表情を見て解決したことはすぐにわかりました。
公立高校も無事に合格しました。
後日談ですが、あのとき、周りから説得されたりしたんじゃない?と聞くと、意外な答えが。
両親も先生も、「そっちの選択があなたに合っていると思う」と言ってくれたそうです。先に言ってくれればよかったのにねとその時は笑い話にして終わりましたが、重要な点かと思っています。
子ども自身が決めるという事はとても大切です。
しかし、何かを決めるには判断材料が必要です。
その情報の集め方は子ども達は知りません。
そこは大人が介入してあげるべきところです。
必要な情報を一緒に集めて、整理するサポートをする。
そのうえで最後に決めるのはあなただよと背中を押してあげる。
そうすると子ども達は自信をもって自ら歩き出します。
ここに時間を投資するだけの価値は十二分にあります。
今年はどんな受験生に会えるのか、とても楽しみです。
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