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はじめてのお遊戯会の思い出

自分史を書き始めて、不思議なことにとてもサクサクと筆が進みます。

この地球に生まれて、名も無いわたしの、本当にちっぽけな経験。

だけど、わたしにとっての大切な経験をこうやって書く場所が与えられていることにとても幸せを感じます。


さて、今回も『恥』シリーズ第二弾です。

今回は年少さんの時のお話しです。


わたしが通う保育園では『せいかつはっぴょうかい』と言って

年に一回、子どもたちがお遊戯を披露する会が催されていました。


これが結構な大作で

お歌を披露する、と言った時間だけでなく

1クラスずつ、劇をやっていました。

例えば、桃太郎とか 雪の女王とか。


それぞれ配役があてがわれ

手作りの衣装を身にまとい、長い時間かけて覚えたセリフを喋っていきます。

BGMは先生が弾くピアノ。

本当に、今考えても、先生も子どももよく頑張っていたなぁと思います。


さて、そんな1年に一回の晴れ舞台。

わたしがはじめて経験した劇は『さるかに合戦』でした。


木に登れる猿たちは、自分たちだけ熟れた柿を食べ

カニたちには青い柿を投げつけ

意地悪されたカニに代わって、うすやハチたちが猿に仕返しをする。。

という日本昔話です。


この保育園の劇は特徴があって

どの役も一人が通しで行うわけではありません。

場面①で猿の役をするAくん、蟹の役をするBちゃん。

場面②で猿の役をするCちゃん、蟹の役をするDくん。。

みたいに場面ごとに配役が変わるのでした。

長いセリフが覚えれないことや

クラスの子どもたち全員が劇に参加できることを配慮された結果なのでしょう。


で、わたしは何の役になったかというと『猿』です。

場面は、いたずらをした仕返しに、お仕置きを受けているところです。


詳しくは覚えていないのですが

お腹をおさえて『痛い、いたい』と言いながら

床を転げ回らないといけませんでした。


練習の時はなんとも思わなかったのですが

いっぱい人が見ている中でこれを行った時・・


わたしの中に1つの想いが出てきました・・


『わたし、何やってるんだろう。。』って・・・


なんで、床の上で転げ回らないといけないんだ。

めちゃ恥ずかしいじゃないか。

なんなら、わたしもカニの役がよかったぞ・・


一生懸命演技しながらも

なんともいえない屈辱感にさいなまれました。

すんごく冷めた気持ちで床を転げていました。


今でもはっきり覚えています。

転げ回った床の かたい感触

目に当たる照明

遠くの方で聞こえる父兄のざわめき・・


周りの大人からしてみれば

小さい子どもたちが一生懸命演技をしている姿は

ほほえましく、成長を感じられる機会だったでしょう。


その一方で、わたしはとんでもなくプライドが傷ついていたのです・・


これに懲りたわたしは

次の年からは必ず『主役』に立候補するようになりました。


どうせやるなら、良い思いをするものを。

そんな自分のポリシーがあったように思います。


ずいぶんとプライドの高い人間だなぁと思います。

でも、ちょっと見方を変えると

それだけ真剣に取り組んでいたんでしょうね。


だって、劇は劇だから。

恥をかいているのは猿であって、わたしじゃないのに。

けど、猿とわたしを同一視してしまったわたし。


そんな 小さな思い出です。


*写真はお借りしています。




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