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note:83 朝じゃけ定食【BreakfastNotes】

 「朝食」は「朝、人を良くする」と書く。良くなろうと思い、良さそうなものを考えながら、朝食へと向かう。
 占いでもいいだろうし、風水でもいいだろう。あれがいいと言われて食べる事もある。しかし、それで本当に良くなったかどうかはわからない。
 毎日が違う日で、同じ日は一日たりともない。同じような毎日を過ごしているようで、毎日が全く違う日である。
 その事に気がついた時、前の日と違うものを食べようと思った。もう4年以上も前の事だった。

朝じゃけ定食¥539-

 日本の朝食のA代表と言われし定食だと思うが、形骸化してしまい、この朝食を食べている人はどのくらいいるのだろうかと考えてしまう。
 今日はしゃけの塩っけが薄く、しゃけの味を存分に感じた。秋であるが、その身の旨みが秋だけでなく春まで感じさせる爽やかとコクだった。
 海に出てさまざまな経験をして……などとしゃけのここに来るまでの一生を感じてしまう。ハラスの部分の脂の載った感じの優しさから、たくましく生きてきたんだろうと、私にはわかった。
 米と一緒に食べると感じる、その粒の隙間に浸透していくような香りと脂。取り逃がし流してしまうのが勿体無いと感じ、さらに米を口に入れていく自分。
 食事は命を手にする事だ。間違いなかった。

 ……私は朝食が好きだ。実感の湧きにくい現代社会の生、今一度思い出させてくれる時がある。

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