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note:15 万かつサンド【BreakfastNotes】

 ……何よりも、私は朝食が好きだ。朝食は希望に溢れている。その日の予定を考えるのでもいい、逆に何も考えないで食べるでもいい。食べ終わった後、嫌な気持ちになりにくいのが朝食だ。
 時間帯も、食べるものも、食べ方でさえきまりがない。朝食は、すべての人類にとって……いや、生きとし生けるものにとって平等である。食べる事は生きる事なのだと日頃痛感している。

万かつサンド¥800-

 出かける用事があり、新幹線に乗る。そうわかってから、必ずこれを朝食にしようと決めていた。思い出の味だ。
 今より20数年前、まだ新幹線のアームレストに灰皿があった時代から、今日に至るまで、新幹線に乗る時に選んで食べてきた。私が少年、青年、中年へと変わっても、万かつサンドはほとんど変わらないように思える。
 サンドのパンは、噛むと歯型がつくほど、華奢で頼りない。カツの衣も、当然ソースを纏わせるためサクサクではない。だが、これがいい。肉をしっかり食べている感覚。
 あまり変わっていないようで、しっかりと歳をとって行く自分を感じるほど、万かつサンドは歳をとっていなかった。

 「朝食」は「朝、人を良くする」と書く。
 さて、明日は何を食べようかな。

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