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あれから

長野生活から戻って1カ月。昨日のことのようにあの日々を思い出しつつ、ポイント3倍デーや卵の特売に目を光らす主婦の感覚も戻ってきた。

今回は31年間のうちのたった半年を、どんな想いで過ごしたか綴る回。(こんなに遅くなってしまった)

はじまり

新潟で退屈な毎日を過ごしてた2020年、The Saunaへ行った方のツイートを毎日のように見かけて、称えられる素晴らしいサービスとスタッフが頭に焼き付いた。「ここへ行けば、普段会えないフォロワーさんとたくさん会えるかもしれない」と思った。気持ち主導な性格なので、スタッフ募集があるのか調べていた。CoHoKaのオープンも控えてたし行くなら別居になるので、勇気を出して夫に相談した。彼は「それは行くしかない、行くべきだ」と言ってくれた。私たちにはまだ子どもはいないし、30代でそこんとこデリケートな問題。夫婦会議の結果、それでも2021年は挑戦の年として【お互い頑張って成長しよう】という不可思議な志をつくり、覚悟を持ってLAMPにメールを送った。2021年2月のこと。

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(「耳をすませば」の雫が自分を試すため、小説を書くことを決めたような感覚、この経験を通してこの作品の見方が変わった)

旅立ち

そして2021年4月16日、前日に新潟から石川へ引越した私は、CoHoKaの在庫も全部積んで長野に発った。結局タイミングが合わずLAMPに行くことも、長野に赴くのも初めてで、初めてしかないこれからの日常に楽しさ半分、緊張半分。LAMPスタッフのSNSは日々見てたので、本物の皆が温かく迎えてくれて嬉しかった。

当時連絡をやり取りしてたイタルさんが「1週間分の荷物でいい」と言ったので、鵜呑みにして全然服を持って行かなかったのが仇となり、とても困った。しっかり生活に必要な物はすべて持っていくべきだった。また、よそ行き向きの服はあんまり必要なかった(サウナだと作業や掃除業務もあるため、実用性重視)。

お世話になるシェアハウスで、その日の夜歓迎会を開いてくれた。小野ちゃんのキムチ鍋と焚火が行われ、スケールのでかさに驚いた。小野ちゃん、カケル、キリ、セージ、おゆう、けん(遊さんもね)。皆の温かさが嬉しかった。

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お仕事

LAMPでは、宿泊施設のヘルパーとして基本的にゲストハウス業務を覚える。色んな場所で仕事をしてきたけど、宿業は初めて。主に客室と共有部分の清掃業務をしっかりと行う。お客さんと顔を合わせない仕事は慣れないので、個人的には大変だった。同時にお宿に泊まりにいく=サービスを受けに行くことが多いと思ってて、宿業の人すごいなって衝撃...。これから宿泊するとき全てに感謝しようって思った。客室に飾られてるお花は、デザイナーのサキさんやスタッフの智美ちゃんがお部屋に合ったものを選んでいたり、小さな心遣いがある。お客様と顔を合わせなくても、おもてなしの心は同じ。

サウナへ

ゲストハウス業務もやりつつ、サウナのことも勉強しながら、サウナ番に。

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実はここに来るまで、マッチの火さえ点けられず。さすがにそれは...って感じですが。キャンプも焚火も未経験という状態

会得したこと
・マッチ点ける
・ガスバーナー使う
・斧を持つ
・薪割る
・薪積む
・薪ストーブの火入れ
・焚火のセット~火入れ
・ネコ車の扱い
・蒸留 etc.

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↑初めて成功した焚火

斧は重すぎて全然薪が割れず、遊さん先生にたくさん教わった。薪ストーブを扱うので薪は友達。火の燃え方や薪について教われたのは本当に進歩だった。テントサウナの火入れもできるし、絶対いつか役に立つ時が来る...といいのだが。日常的にコンロの火しか見なくなるとなんだか寂しい。

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信念

これは本当に持論ですが、やっていくうちにサウナ=一体型アトラクションのようなものだと思うようになった。大袈裟に言うとディズニーならジャングルクルーズ、USJだとジョーズのような。サウナ番は、たまたまその時間に居合わせたお客間を担当し、それぞれ個性的なサービスで楽しませる。いつの回に来ても、スタッフが違っても同じように楽しくて気持ちいい。そんなサウナを心掛けていた。

サウナスタッフの数だけ、サービスがある。だからいい。基本は同じでもそれぞれのロウリュ、それぞれのアロマチョイス、持ち味を生かしたそれぞれのキャラクター。スタッフもお互いがお互いのサービスを受けてみたくなる。サウナが素晴らしいのはもちろんのこと、サウナに来てくださる方が楽しんでくれるのは人でもある。LAMPのスタッフでありThe Saunaのサウナスタッフとして、全力でお客さんに楽しんでいい思い出を作ってほしい、そう想いを込めて。

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サウナ業界には女性が少ない。テレビで取り上げられるのも男性が多いと感じる。今まで夫婦で取材を受けたこともあるが、女より男の方が絵になるらしく使われない。確かに昨今のサウナブームまでは女性のサウナファンが少なかったことは否めない(私もそう)。何とは申さないが、モヤモヤすることも多い。世の中も変わっていってほしいし、変えていかなければならない。女性のサウナ番も珍しい。汚れるのが嫌でアウトドアサウナ番はできない。一生残るであろう火傷も9か所、ありがたや。(ただの不注意なので気をつけましょう)

何に対してとかじゃなく、女性としてサウナ番としてプライドを持ってお仕事してた。もしヘルパーをやってみたい女性で何かを聞きたいとかあれば、遠慮なく聞いてほしいと思う。

ディズニーランドの接客法の本を読むように、と勧められて何年ぶりの読書をした。これまで接客一本で生きてきた私にとって、今まで読まなかったことを悔いる内容だった。


どんな方が来ても同じにやるのではなく臨機応変に。静かに楽しみたいお客様、時間帯、お話が好きなお客様もいる。言われる前に察する。その環境でのお客様の最幸を提供する。サービス業は如何に柔軟に対応できるかも大事なこと。もちろん基本サウナ番=火の番なので、薪を定期的にチェックし薪入れやストーブの管理もするが、とても難しい。スイッチを入れれば温まる電気サウナと違って、薪は入れないと消えてしまうし温度も一定ではないから。全部同時にするって、究極のサービス業かもしれない。

LAMPに来る前から、ココロにずっと残っているべべさんの言葉たち。
サウナはツールって言葉はこの先もずっと自分の中で大切にするし、信念として刻んでいる。上記の「サウナ」=私の中ではCoHoKaに置き換わって、この先もずっと続いていくと思う。いろんなものや人で溢れていってもこれだけは大事にしたい。それが本質であり私の信念。

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サウナで出会った方々との思い出。大切な一瞬にお邪魔できて幸せでした。皆さんがいたから頑張れました。本当にありがとうございます。

いろんな経験をした中で一番好きな仕事は「灰掻き」。1日の終わり、最後にすること。サウナは大体朝6時から火を入れ、1日約10回転、約60名以上のお客様が毎日訪れる。その火をサウナ番みんなで守り継ぎ、1日を終える。誰もいなくなった真っ暗なサウナで燃え尽きた灰を掻き出してきれいにする。一体今まで何百人の心を温めてきたであろうユクシ・カクシに「今日もお疲れ」と一掻き一掻き語りかけるのがとても好きだった。

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最終日はユクシ・カクシに挨拶をして、甲子園の砂の如くウッドチップを拾った。

ファミリー

SNSにはいいことしか書かない。でも、辛いことや苦しいこともたくさんあった。楽しむべきことを楽しめない時期もあった。(人間なのでね。)だけど立ち直って毎日を楽しんで、働いて、寝て、遊んだ。ここで偶然居合わせた仲間と毎日家族のように顔を合わせ、LAMPでは家よりも長い時間を過ごした。

最後の日にLAMPのみんなが贈り物をくれた。そこに書かれてた文字は「FAMILY」。慌ただしく忘れがちだったことや、この約200日間、全部がこの言葉に詰まってる気がした。どこまでセンス良すぎか。

本当にありがとうございました。みんな大好きです。またね。

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LAMPを一言で表すなら「青春」。意見を言い合って、ぶつかり合って、良くなってまた先に進みながら仕事して子どもみたいに遊んでまた日常に戻る。決して楽で楽しいことばかりじゃない。でもその日々が愛しくなる。その青春を自ら抜け出すことは苦しくて辛いけど、青春をしてる仲間たちが羨ましいけど、各々の旅路へ私も進む。私は成長できたのだろうか。今これから、大丈夫か?

少なくとも、夫は家事を任せられるようになっていた。

ではまた!

(今も現在進行形で、LAMPもThe Saunaも進んでいってると思うので、当時と方針が変わってる場合もあります)

photo by annie、しんすけさん more.